受益者代理人の役割
認知症対策の財産管理の方法として
活用される家族信託では、受益者が
受益権という信託財産に対する権利を有し、
受益者自らが、財産管理を担う
受託者の業務を監督し、信託に関して意思決定します。
しかし、受益者自身が認知症になったり、
病気などで寝たきり状態になると、
受益者が権限を行使できなくなってしまいます。
そこで、受益者の代わりに権限を
行使する人を配置しておく必要があります。
◆受益者代理人とは、
受益者のためにその権利を代理で行使する人
をいいます。
受益者代理人が設定されると、
受益者は受託者監督等を除いて
権利を行使できなくなります。
受益者の権利としては、
「受益権の財産的権利を行使する権利」
「意思決定権限」
「監督権限」
の3つがあり、
どれも信託を行ううえで
とても重要な権利になります。
受益者自らが信託に関する権利
ができなくなるので、注意が必要です。
そこで、実務では受益者が
「意思表示できなくなった事情が生じたとき」
「生じそうな時」に受益者代理人を
選任できるようにするなどの工夫
を取ることが多いです。
◆複数人の受益者が存在する場合は、
すべての受益者の一致によって
信託に関して意思決定する
ことになりますので、
受益者間で対立などあれば、
意思決定ができずに信託が
ストップしていまいます。
そこで、受益者全員の
意思決定を代行する役割として、
受益者代理人を選任して
信託がストップすることを
予防することもできます。
<用語解説>
委託者:信託する財産のもともとの所有者で、信託をお願いする人
受託者:委託者からの信頼に基づいて、財産の管理・処分等を任された人
受益者:信託された財産から生じる利益を受ける人
※「家族信託」は一般社団法人家族信託普及協会の登録商標です。
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