家族信託が終わったら財産はどうなるの?
認知症対策として活用される
家族信託が終了した時に、
残っている財産の行き先を
決めることが必要です。
♦委託者が生存中に信託が終了した
時には、受託者が管理している財産は、
元々の所有者である委託者(受益者)
に戻すことが基本です。
もし委託者(受益者)以外の人が
財産を取得してしまうと、贈与税が
課税されてしまうからです。
♦委託者(受益者)が死亡して信託が
終了した時の財産については、誰が取得
するのか決めておく必要があります。
⑴特定の相続人(1人)に決めておく
特定の人に財産を承継させたい場合に
適した決め方です。
受託者が管理している財産は、
途中で資産の内容が変わっても
関係なく、特定人が終了時の財産を
取得します。
「信託終了時の残余財産はAに帰属させる」
などと定めます。
ただ、途中で財産取得予定者が死亡した
場合に備えて、予備的に取得する人を
決めておくことが必要です。
⑵協議で決めるようにしておく
相続人などに財産を取得させたいが、
具体的に誰が何を取得するのかを決める
ことができない場合に適しています。
協議がスムーズに整えば良いですが、
協議ができない時には、信託が
いつまでも終了しない状態が
続いてしまう可能性もあります。
⑶取得者ごとに特定の財産を具体的に
決めておく
「Aには甲不動産、Bには乙不動産、
現金・預貯金はAB均等に帰属させる」
などと決めます。
このように決めておくことで、相続人の
協議も不要になりますので、スムーズな
財産承継もできます。
ただ、気を付ける点もあります。
上記の事例で、もし信託の途中に
乙不動産を売却して現金化した場合、
本来Bが取得するはずだった乙不動産が
無くなり、現金が増えます。
信託終了時にある財産は甲不動産と
現金・預貯金のみです。
Aが甲不動産と金融資産の半分を取得する
のに比べて、Bは金融資産の半分のみを取得
するのみになってしまうことになります。
甲不動産・乙不動産・金融資産が各1,000万円と
すると、
A:甲不動産(1,000万円)と金融資産500万円
B:乙不動産(1,000万円)と金融資産500万円
⇩
A:甲不動産(1,000万円)と金融資産1,000万円
B:金融資産1,000万円
のようになってしまいます!
信託の途中で「資産の組み換え」を
予定する場合には、避けた方が良いです。
♦上記の方法はそれぞれメリット・デメリットが
ありますので、信託が終了時のことを考えて
信託の内容を決めることが重要です。
<用語解説>
委託者:信託する財産のもともとの所有者で、信託をお願いする人
受託者:委託者からの信頼に基づいて、財産の管理・処分等を任された人
受益者:信託された財産から生じる利益を受ける人
※「家族信託」は一般社団法人家族信託普及協会の登録商標です。
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