受託者の辞任
家族信託では、所有者が「最も信頼できる受託者」
に財産の管理を任せるものです。
家族信託は、委託者(所有者)のために
受託者が一方的に義務を負うものなので、
受託者は自由に辞任することはできません。
♦原則、委託者と受益者の同意が必要になります。
ただ別段の定めがあれば、その定めに従って
受託者が辞任できます。(信託法第57条)
家族信託においては、辞任についての規定を
定めることがとても重要になります。
信託会社などが受託者となる商事信託とは異なり、
一個人が受託者となる家族信託においては、
受託者が途中で病気や加齢などで、受託者としての
義務を果たせなくなることも十分に考えられる
からです。
信託の定め方によっては、数十年にわたり
信託が継続することになりますので、
受託者個人が受託者の事務を継続できる
とは限りません。
♦そこで、家族信託を行う場合には、
受託者が十分な信託事務ができなくなれば、
受託者が辞任し、新たな受託者が信託事務の
引継ぎができる仕組みを作っておくことが重要です。
ただ、受託者が辞任できるように定めるとしても、
自由気ままに辞任されても困りますので、
ある程度の絞りは必要です。
「病気・加齢など信託事務の遂行に支障がある
と認められる場合には辞任できる」旨の規定は
必要かもしれません。
<用語解説>
委託者:信託する財産のもともとの所有者で、信託をお願いする人
受託者:委託者からの信頼に基づいて、財産の管理・処分等を任された人
受益者:信託された財産から生じる利益を受ける人
※「家族信託」は一般社団法人家族信託普及協会の登録商標です。
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