任意後見制度に対する3つの誤解

「成年後見制度」の認知度向上に伴い、

元気な時に、将来自分が、認知症などに

なった場合に備え、予め信頼できる人を

後見人に選んでおく「任意後見」を活用

する事例が増えています。

 

1.任意後見人に就任しさえすれば、

管理する財産を自由にできる!?

 

本人の居住用不動産(自宅など)を

売却するときでも、家庭裁判所の許可が

不要であることから、そのような誤解を

招いているかもしれません。

 

任意後見人も本人の財産を守るという

「成年後見制度」の範囲内で財産管理

を行います。

 

制限なく自由にできるわけではありません。

 

自宅を売却する必要もないのに、

任意後見人がそれを独断で売却して

消費しやすい現金にしてしまうことは

「本人の財産を守る」という後見制度

の趣旨に反すると見なされることも

あります。

 

本人の預貯金などが潤沢にあるにも

関わらず、合理的な理由ない状態で

自宅を売却してしまえば、その後に

家庭裁判所や後見監督人からの指導や、

後見人を解任されることもあり得ます。

 

 

2.相続税対策を目的とした財産処分・

組み換えを継続できる!?

 

父親の相続税対策を行っていた家庭で

主導していたファイナンシャルプランナーが

父親の認知症対策に備えて、家族に

任意後見制度を勧めて、子どもが

任意後見人になったケースがありました。

 

後に相続税対策の財産の組み換えが

できないことが判明しましたが、

任意後見の利用を撤回することはできず、

相続税対策が途中で頓挫したケースがあります。

 

ファイナンシャルプランナーは

まさに「任意後見制度を活用すれば

その後も相続税対策を行うために、

財産を処分・組み換えできる」と

誤解されていたのでしょう。

 

親が認知症になった後は、相続税対策で

財産の処分や組み換えはできません

 

相続税を支払うのは相続人です。

相続税対策は、あくまで相続人の

利益のためで、「本人の財産を守る」

ことにはならないからです。

 

 

3.任意後見制度は費用はかからない!?

 

任意後見人の監督は、家庭裁判所が

選任した弁護士・司法書士といった

専門家が後見監督人として行います。

 

後見監督人もボランティアではないので、

監督業務に関する報酬が

年間15~25万円程度は必要です。

 

本人が亡くなるまで、成年後見は

継続しますので、トータルコストは

数百万円になることも覚悟する必要が

あります。

 

 

司法書士・行政書士西本清隆事務所

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