認知症で預金はどうなる!?
「未来の年表」という話題の本があります。
そこには、認知症及びその予備軍に該当する人が
2026年には700万人を超えるということです。
認知症が「国民病」になり日も近いという予測が
されてます。
認知症になれば、預貯金の管理はどうなるのでしょうか?
1.①認知症になることで、まず自分が保有する
預貯金の存在を忘れてしまう可能性があります。
普段手元にある通帳やキャッシュカードで、
普通貯金の存在は忘れないかもしれませんし、
ご家族も見つけることが可能でしょう。
ただ、普段は金庫などに保管する定期貯金は
その存在自体を忘れてしまい、お金が必要な時に、
その存在に気付かないことで、経済的に困ったことに
陥るケースも考えられます。
②次に認知症になると、窓口で預金の引き出しが
できなくなることも予想されます。
一定額を超える引き出しでは、本人確認及び意思確認を
厳格に求める金融機関も増えてきました。
本人とのやり取りの際に、認知症ではないか?と疑問を
持たれたら、引き出しをストップされる可能性もあります。
2.では、認知症になる可能性に備えて、どのような対策が
あるでしょうか?
①「任意後見」及び「任意代理」の契約をしておく
任意後見:本人が認知症になった後に本人の代理人として
財産の管理や契約を行う。
任意代理:本人が自分の代わりに、代理人に財産管理や
契約の代行をお願いする。
⑴双方とも認知症になる前に信頼できる親族や専門家に、
予め財産管理をお願いする制度です。
任意後見は、認知症になった後に始めて効力が
生じ、代理人として活動することなるのに対して、
任意代理は認知症になる前から代理人として
活動できます。
⑵「任意後見」は本人のために必要な合理的な範囲でのみ
財産の支出ができます。
「任意代理」は契約で定めた範囲で財産の管理をすることが
できますが、「不動産の処分」などは代理できません。
「万能」な代理権があるわけではないので、注意が必要です。
また、銀行から払戻を受ける代理権が契約書に記載あっても、
数年も経過すると、その権限が消滅している可能性もあるので、
銀行が払戻に応じてくれないこともあります。
②民事信託(家族信託)の契約をしておく
民事信託(家族信託)も信頼できる家族、親族に
財産の管理を任せておく制度です。
本人が認知症になる前に契約することで、
「信託された財産」の管理を、本人が
認知症になった後でも継続することができます。
本人が元気なうちに、預貯金を「信託する分だけ」
引き出し、それを任された家族が管理する口座で
管理します。
口座の名義は家族(受託者)ですが、実質的な財産の
権利(受益権)は本人(委託者)のものですので、
信託の目的に反しないかぎり、自由に活用できます。
③「普段、使用しない大きな財産」は民事信託(家族信託)
を活用する。
「年金が入ってくる日常的に使用する口座」については、
「任意代理及び任意後見」を活用する。
この使い分けが認知症になって、自分の銀行口座の存在を
忘れてしまい、不利益を生じることを防ぐと同時に、
認知症になった後の財産管理の方法としては効果的です。
<用語解説>
委託者:信託する財産のもともとの所有者で、信託をお願いする人
受託者:委託者からの信頼に基づいて、財産の管理・処分等を任された人
受益者:信託された財産から生じる利益を受ける人
※「家族信託」は一般社団法人家族信託普及協会の登録商標です。
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