受託者を決めるポイント
民事信託(家族信託)を導入することを
家族・親族内で決めても、その後に考える
ことで、一番悩むことがあります。
それは、信託財産の管理・処分を任せられる
受託者を誰にするかです。
1.委託者である高齢の親よりも
受託者である子どもが先に亡くなる
可能性があります。
受託者が亡くなったりしても
当然に信託が終了するわけでは
ありません。
委託者及び受益者が、新たな受託者を
選任する必要があります。
もし、新たな受託者が見つからずに
「受託者が欠けた状態が1年経過」
すると自動的に信託が終了します。
そうならない様に、信託契約の中で、
予備的に第2受託者を定めておいたり、
受託者を選任する方法を定めたりして
おきます。
2.個人(自然人)は、不慮の事故や
病気で死亡するリスクがあります。
そこで、一般社団法人や株式会社など
法人を受託者とすることも多いです。
ただ、法人を受託者とするにも
メリット・デメリットがあります。
<メリット>
⑴法人には「死亡」「判断能力の低下」
のリスクがない
法人の代表者が不慮の事故や病気になっても
受託者としての法人には影響ありません。
法人を解散しない限り、法人内部の
構成員が変わっても法人自体は存続する
ので、長期間、受託者が欠けることが
ありません。
⑵信託専用口座のロックがされない
信託財産の金銭を管理する口座の
名義人は法人なので、法人の代表者が
亡くなっても、そのまま口座を
引き継ぐことができます。
<デメリット>
⑴法人に税金が課税される
法人が存続する限り、利益の有無に
関係なく、法人住民税が8万円ほど
かかります。
⑵専門家への報酬が必要
法人を設立する際の手続きや
法人登記簿の変更・税務申告を
する際に税理士や司法書士への
報酬が必要になります。
⑶法人内部の意思決定や
構成員間の関係が複雑
法人の構成員で意思決定をする
以上、意思決定の諮る時間が
必要になります。
法人の構成員のパワーバランスにも
配慮する必要があります。
3.成年後見人との関係
予め管理・処分を任せた財産については、
その後に委託者(受益者)が認知症になり、
成年後見制度を活用しても成年後見人が
管理する財産にはなりません。
ただ注意が必要な点として、
「成年後見人は受益者の代わりに、
受託者の監督を行います」
家族信託の受託者と成年後見人が
同一人物でも構わないのですが、
その場合、「監督する人」と
「監督される人」が同じになります。
家庭裁判所の監督の下にある成年後見人
とは異なり、家族信託の受託者には
外部の監督機関を置かない仕組みも
可能ですので、受託者の選任には
十分な検討が必要です。
もちろん、信託監督人や受益者代理人を
予め定めておき、第三者の監督を
働かせることもできます。
<用語解説>
委託者:信託する財産のもともとの所有者で、信託をお願いする人
受託者:委託者からの信頼に基づいて、財産の管理・処分等を任された人
受益者:信託された財産から生じる利益を受ける人
※「家族信託」は一般社団法人家族信託普及協会の登録商標です。
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