「遺言」と「遺言代用信託」、名前は似てますが・・
様々な場所で開催されている「終活セミナー」で
「遺言を準備しましょう」とよく言われます。
亡くなった後の手続をスムーズにするには、
有効な方法ですが、「民事信託(家族信託)」でも
生前の財産管理を任せるだけでなく、
誰に財産を承継させていくかを決めることができます。
遺言の機能と財産管理の機能をミックスすることで、
元気な時~認知症発症~亡くなった後までの
全ての時期に対応することが可能になります。
「遺言の機能を含んだ信託契約」のことを
「遺言代用信託」といいます。
「遺言」と「遺言代用信託」の違いをまとめてみました。
1.財産承継の指定できる期間
遺言:「自分の次の世代までの指定ができる」
遺言代用信託:「次の世代に限らずに孫・ひ孫の世代までの
財産承継の指定ができる」
⑴遺言は本自分の所有する財産を誰にあげるかを
決めるものですが、相続の後は財産を取得した
相続人が所有者になるので、所有者である相続人が
自由に決めることができます。
⑵信託の場合、現在の所有者である本人が、
2世代・3世代先まで財産承継の道筋を
決めることができます。以下のような
ケースには有効です。
①子・孫・ひ孫・・と自分の直系の子孫に
引き継いでほしいケース
②子どもがいないので、自分が亡くなったら配偶者に
遺産を取得させて、平穏に生活してもらいたい。
ただ、配偶者が亡くなった後は、先祖代々引き継いできた
財産なので、配偶者の親族ではなく、自分の兄弟や甥・姪に
承継してほしいケース
2.本人死亡時の不動産名義変更費用
遺言:0.4%
遺言代用信託:1,000円又は0.4%
⑴不動産の名義人が死亡した場合、名義変更に
必要となる実費(登録免許税)は不動産の
固定資産税評価額の0.4%です。
1000万円の評価額ならば4万円です。
⑵遺言代用信託で本人(委託者)が死亡した場合には
2つのパターンがあります。
①本人が死亡したら信託自体が終了するケース
この場合は、本人が死亡したと同時に
不動産は「所有権」として承継されます。
普通の相続と同じく不動産の固定資産税評価額の
0.4%のが登録免許税として必要です。
②本人が死亡しても信託自体は終了しないで、
信託財産から得られる利益(受益権)を
次の人が新たに取得するケース
不動産は「信託財産」のままで、受益権だけを
次の権利者が新たに取得(又は承継する)します。
権利(受益権)を有する受益者の表示を
変更するだけですので、不動産1筆あたり
1000円の登録免許税で済みます。
3.書き換えのリスク
遺言:制限されることなく、いつでも撤回ができます。
遺言代用信託:撤回を制限することも可能です。
⑴遺言は、作った本人が、いつでも書き直すことができ、
前の遺言の内容を撤回することができます。
そのため、親が高齢になると子ども達による
「遺言書の書き換え合戦」が行われることも
珍しくありません。
⑵遺言代用信託も変更は可能ですが、変更には
本人(委託者)と受託者の合意に加えて、
信託監督人の同意も必要などと定めることで、
簡単には変更できなくできます。
特定の項目(財産の帰属先など)については、
変更できないと定めることも可能です。
4.認知症対策
遺言:認知症対策にはならない
遺言代用信託:認知症対策に有効
⑴遺言は作成した本人が死亡して始めて効力が生じます。
遺言を作成者の生前には、遺言の効力は生じませんので、
本人が認知症になったとしても、財産管理を代わりに
行うことはできません。
⑵遺言代用信託は、委託者と受託者が契約を行えば、
すぐに効力が生じるので、受託者が財産の管理を
開始できます。
本人が認知症になる可能性が高く、
「財産管理を任せたいだけでなく、
財産承継についても定めたい」場合、
遺言代用信託はとても有効です。
<用語解説>
委託者:信託する財産のもともとの所有者で、信託をお願いする人
受託者:委託者からの信頼に基づいて、財産の管理・処分等を任された人
受益者:信託された財産から生じる利益を受ける人
※「家族信託」は一般社団法人家族信託普及協会の登録商標です。
「認知症に備えて、財産管理の対策をしたい」
「孫の代までの資産承継の仕組みをつくりたい」
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