行方不明の相続人がいるときには
〇相続が発生した際に、相続人全員が揃い相続手続きが
出来るなら良いのですが、相続人の1人が行方不明で
どこで何をしているのか分からないというケースもあります。
遺言書が残されているのであれば、行方不明の相続人の
関与も必要とせずに手続きを進めることもできますが、
遺言書がない時には、行方不明・音信不通の相続人が
いても、その相続人を除外して相続手続きを進めることは
できません。
例えば、遺産分割の協議をしたり、預貯金の払戻しをするにも
相続人全員の同意・捺印が必要になります。
〇では、音信不通・行方不明の相続人がいて、遺言書がない
場合には、どのようにして相続手続きを行うのでしょうか?
その時には、「不在者財産管理人」を家庭裁判所に
選任してもらいます。
「不在者財産管理人」は行方不明・音信不通の相続人の
代わりに、その人の財産管理を行う人のことです。
不在者財産管理人が、行方不明の相続人の代わりに
遺産分割協議に参加したりします。
〇不在者財産管理人を家庭裁判所に選任してもらうには、
「行方不明」であることを証明しないといけません。
住民票の住所に居住していないことが分かるものが必要です。
例えば、住民票の住所宛ての郵便物で返送されたもの、
警察が発行した捜索願受理証明書などです。
申立を家庭裁判所へ行うと、20~50万円程度の「予納金」を
納めることになります。
予納金の額は、職務内容や管理する財産によって裁判所が決定します。
〇不在者財産管理人は、「行方不明の相続人の財産を守る」ために
選任されますので、不在者に不利な内容の遺産分割協議をすることは
できません。
不在者財産管理人が遺産分割協議をするには、遺産分割協議の
内容について、家庭裁判所の許可を得る必要があります。
また、行方不明の相続人の法定相続分を確保することが
必要になります。
他の相続人のみが有利になる遺産分割協議ができる
わけではありませんので、注意が必要です。
司法書士・行政書士西本清隆事務所
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