「民事信託(家族信託)」と「商事信託」

〇「民事信託(家族信託)」と「信託銀行」のサービス・商品は

何がどう違うのか?疑問に思われる方も多いと思います。

 

信託銀行のサービスは、金融庁という行政機関の許可・監督のもとで、

商売として、依頼者から手数料を貰い行うものです。

 

「営利(商売)」を目的とし「不特定の人」を対象とするもの

ですので、「商事信託」と言われます。

 

商事信託の特長として、「商品・サービス」ごとに予め内容が

決まっています。

例えば、孫の学費を出してあげたい祖父母であれば、「学資贈与信託」

みたいなネーミングの金融商品で販売されています。

 

この場合、「とにかく自分が亡くなった後でも孫の高校・大学への

入学金・学費を確実に出してあげられる」内容で一律に固定されて

いますので、契約内容がはっきりしています。

 

 

〇家族・親族で行う「民事信託(家族信託)」は、「商事信託」とは

異なり、「営利を目的とはしませんし、特定の家族との契約」です。

 

信託をお願いされる「受託者」は手数料をもらって行うものでは

ありませんし(ただし、必ず無報酬でなければいけないわけでは

ありません)、「特定の家族」以外の第三者から財産の信託を

受けるわけではありません。

 

よって、「商事信託」とは異なり金融庁の監督を受けるわけでは

ありませんし、「受託者」として金融庁の許可も不要です。

 

「民事信託(家族信託)」の場合、未成年や成年被後見人、被保佐人以外に

受託者としての資格はありません。

自分の責任のもと、しっかりとした財産管理ができればOKです。

 

法人も当然に受託者になることができます。

 

たまに、「法人が受託者になることは金融庁の許可を受けない以上、

信託業法違反だ」とトンチンカンなことを言う人がいますが、

「民事信託(家族信託)」と「商事信託」の概念が全く分かっていない

のかな・・て感じです。

 

 

〇「民事信託(家族信託)」は「商事信託」のように定型化できるものでは

なく、委託者の想いは千差万別です。

当然、信託契約の内容も、当事者ごと契約ごとに異なってきます。

 

ですので、「信託契約」を行う際には「委託者と受託者」といった

契約当事者はもちろん、「(二次)受益者・信託監督人」「相続人」

といった後に絡んでくる人達にも、しっかりとした信託内容の説明を

する必要があります。

 

 

 

〇なお、信託銀行の「遺言信託」サービスは、「公正証書遺言」の作成支援・

保管サービス及び相続発生時の遺言執行手続きを総称したサービスのことで、

ここでいう「信託」とは意味合いが異なっていますので、注意が必要です。

 

 

 

<用語解説>

委託者:信託する財産のもともとの所有者で、信託をお願いする人

受託者:委託者からの信頼に基づいて、財産の管理・処分等をお願いされた人

受益者:信託された財産から生じる利益を受ける人

 

※「家族信託」は一般社団法人家族信託普及協会の登録商標です。

 

 

司法書士・行政書士西本清隆事務所

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