権利に制限ができる「民事信託(家族信託)」

 

〇自分が所有するモノ・権利に対して、制限が加えられることは、

原則ありません。それは、「所有権」は万能なものだからです。

 

自分の所有するモノは、「いつ使おうが、誰に貸しても、誰かに

あげても、ゴミとして捨てても」自由で、誰に何も言われる筋合いは

ありません。

 

 

〇これを相続の場面にあてはめると、どうなるでしょう?

 

親であるAさんが亡くなり、相続人は子どもBさんの1人だけ。

このBさんは浪費癖があり、生前AさんがBさんに代わって支払いを

していたケースを考えてみましょう。

 

Aさんが亡くなれば、当然BさんがAさんの全ての財産を取得します。

 

仮にAさんが、遺言書で「無駄使いはしないように、遺産は毎月20万円しか

使ってはいけない」旨の内容を記載しても、何の効力もありません。

Bさんが相続した段階で遺産全てがBさんの「所有」となるので、

自由に費消することができます。

 

 

〇同じケースでAさんが、生前「民事信託(家族信託)」を活用して

受託者を信頼できる親族、(二次)受益者をBさんにしたとします。

そして、「受益権」の内容を「毎月20万円しか受益権を交付できない」と

定めます。

 

Aさんが亡くなり「受益権」を取得したBさんは、仮に遺産が1億円あっても

取得したのは、「毎月20万円という制限が付いた受益権」ですので、

それ以上の金額を交付するように受託者へ請求することはできません。

 

 

〇このように「所有権」に制限を加えることはできませんが、

「受益権」については制限を付けることができます。

 

自分の死後に心配な子どもがいる場合には、「民事信託(家族信託)」を

しておくことは必須です。

浪費癖のある子・知的障がいがある子をお持ちの方は、「民事信託(家族信託)」

を検討する価値はあります。

 

 

<用語解説>

委託者:信託する財産のもともとの所有者で、信託をお願いする人

受託者:委託者からの信頼に基づいて、財産の管理・処分等をお願いされた人

受益者:信託された財産から生じる利益を受ける人

 

※「家族信託」は一般社団法人家族信託普及協会の登録商標です。

 

 

司法書士・行政書士西本清隆事務所

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