「民事信託(家族信託)」と「生命保険」の共通点

皆さん、多くの方が生命保険に加入されていると思います。

契約者である自分に万一のことがあったら、受取人である家族に

保険金が入ってくるものですが、「民事信託(家族信託)」は、

生命保険契約と構造が、とても類似しています。

 

1.生命保険契約は、「契約者」「保険会社」「被保険者」「受取人」で

構成され、「契約者」が「保険会社」と契約をして、保険料を支払います。

 

「契約者(ほとんどが「被保険者」)」が亡くなる前には、「解約返戻金」

「満期金」等の支払いを受けることができます。

「被保険者」に万一のことがあれば、「受取人」に保険金が支払われる

仕組みです。

 

 

2.民事信託(家族信託)には「委託者」「受託者」「当初受益者」「二次受益者」で

構成され、「委託者」が「受託者」に財産を託します。

 

その利益は「当初受益者(ほとんどが「委託者」)が受け取ります。

「委託者」兼「当初受託者」が亡くなると、「二次受益者」が利益を受け取る権利

を取得する仕組みです。

 

「契約者・被保険者」≒「委託者・当初受益者」

「保険会社」≒「受託者」

「受取人」≒「二次受益者」

というふうに、当事者の構造・役割・権利が、かなり類似しています。

 

 

 

〇民事信託(家族信託)の「受益権」と生命保険の「死亡保険金」は、

相続財産になるのかという観点からも共通しています。

 

1.被保険者がなくなることで受取人が受領する死亡保険金は、

相続財産として、遺留分請求の対象になるのかについて、

最高裁判所は、「死亡保険金は受取人固有の財産」として、

相続財産には含まれないとの判断をしています。

 

これは、「契約者・被保険者」が死亡した段階で、契約者が持つ

解約返戻金等の請求権が消滅し、「受取人が新たに死亡保険金を

請求する権利を取得するという理解になります。

 

 

2.「民事信託(家族信託)」では、信託法91条によって

「受益者の死亡により、当該受益者の有する受益権が消滅し、

他の者が新たな受益権を取得する・・・」とあります。

 

死亡した(当初)受益者の受益権が消滅し、二次受益者が

新たな受益権が発生する」旨の内容と捉えることができます。

 

そうなると、二次受益者が持つ「受益権」は、

二次受益者が新たに取得する「固有の権利」ですので、

当初受益者の相続財産には含まれないというのが自然です。

 

 

<用語解説>

委託者:信託する財産のもともとの所有者で、信託をお願いする人

受託者:委託者からの信頼に基づいて、財産の管理・処分等をお願いされた人

受益者:信託された財産から生じる利益を受ける人

 

※「家族信託」は一般社団法人家族信託普及協会の登録商標です。

 

 

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