財産管理・承継の3つのポイント
長年に渡って、築き上げた財産(現金・不動産・自社株等)を
管理したり、次の世代への引継ぎをスムーズに行うには、
「減らさない」「凍結させない」「揉めさせない」ことがとても重要になります。
〇相続税の対策として、借金をして不動産を購入したり、アパートを
建てることは、よくある手法です。
もちろん、そのようにして適切な範囲で節税することを否定しませんが、
一定のリスクを超えてまでしてしまうと、財産の価値自体が下がってしまう
ことになります。
地価が下がったり、大きな災害が発生し不動産が著しく損失して、
価値が著しく低下してしまうと、資産より負債が多くなってしまい、
相続人が相続放棄せざるを得ないことも起こり得ます。
また、中小企業の事業承継として、「株価を下げる」ことで、
自社株の相続税を減らすことも、よく行われます。
社長の子どもが、確実に事業を承継するんであれば良いでしょう。
しかし、子どもが事業承継するとは限らない場合であれば、
違う手法を検討することが必要です。
素晴らしい技術力・製品がある会社であれば、M&A(他社への
売却)で、高く売却した方が得です。
現在1億円の株の価値がある会社であれば、5000万円に株の価値を
減らすのではなく、1億5000万円にして、他社へ売却しすべきです。
〇「凍結させない」ことは、認知症対策として大事なことです。
親が認知症になり、家庭裁判所で子どもが「成年後見人」に選任されたと
しましょう。
よく、子どもが親の成年後見人になっても、親の財産を自由に管理・処分
できると勘違いされている方がいらっしゃいますが、それは違います。
家庭裁判所の監督の下でしか後見人は動くことができません。
本人(親)の財産を消極的(安全)に管理することしかできませんので、
新たに借入れをしたり、多額の出費をすることは、ほぼ不可能です。
収益用のアパートを保有している親が、認知症になり、成年後見人が
ついたとしましょう。
「賃貸借契約の締結」「修繕・リフォーム工事の契約」「売却」等
必要に応じてアパートの管理・処分をしようにも、行うことができなく
なります。
〇「揉めさせない」ことは難しいです。「遺留分」という制度があり、
「親の面倒をずっとみていた子ども」も「全く親の面倒をみない子ども」
も同じ相続分が民法で保証されています。
親が生前に遺言書を作成して、面倒見が良い子どもへ財産を承継させる旨を
記載しても、「遺留分」によって一定割合の財産をもらうことができます。
親が子どもへ「生前贈与」しようとしても、もらった子どもには高い贈与税が
課せられますし、「売却」するにも「資金調達」する必要があります。
「減らさない」「凍結させない」「揉めさせない」ことができれば、
財産管理・財産承継はスムーズにできます。
これらの問題に対して、完全にとは言えませんが、かなりの効力を
持つものが「民事信託(家族信託)」になります。
司法書士・行政書士西本清隆事務所
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