遺言書が1通あるかどうかで、大違い
最近相談を受けた中で、20年前にご主人が亡くなり、その後奥様が
亡くなったケースがあります。
この夫婦に子どもがいれば何も問題ないのですが、夫婦に子どもは
いない為、ご主人の相続時に、奥様とご主人の兄弟が相続人となり、
その後に奥様が亡くなった際に、奥様の兄弟が相続人となっています。
更に高齢のために亡くなった兄弟も続出し、兄弟の子ども達が相続人の
地位を承継することになり、戸籍を調査すると30人以上の相続人が
存在していました。
このようなケースになると、相続手続きを進めるのは、とても困難になります。
まず、相続人同士に面識がないので、相続財産を処分するにも、話し合いを
することが実際にはできません。
遺産分割の協議ができなければ、相続財産を動かすことが一切できません。
また、相続手続きを進める中で、遺産分割協議書等に署名や実印での捺印が
必要になってきますが、数十人の相続人になると、必ず1,2名は「協力しない
人」がいます。
他にも、「行方不明で所在が分からない人」や「連絡は全くつかない人」
「成年後見人がついている人」等遺産分割協議をするに支障が生じることも
珍しくありません。
もし、亡くなったご夫婦に遺言書があれば、状況は全然違っていたでしょう。
ご主人が「妻に全財産を相続させる」という内容の遺言書があれば、
奥様だけで、ご主人の相続手続きは行うことができます。
また、その後奥様が亡くなっても、奥様の兄弟やその子どもが相続人ですので、
面識がない相続人もいないのが普通でしょう。
であれば、奥様の兄弟だけで遺産分割の協議を進めることができ、
スムーズに手続きを行うことができたでしょう。
特に「子どもがいない夫婦」は必ず、「配偶者に相続させる旨の遺言書」を
お互いに準備しておくことが、配偶者及び兄弟への愛情です。
司法書士・行政書士西本清隆事務所
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