「民事信託(家族信託)」が終了するとき
「民事信託(家族信託)」も一定の事由により終了します。
どのような時に信託は終了するのでしょうか?
〇信託の終了事由は、信託法163条に記載されています。
主なものとしては以下のとおりです。
1、信託の目的が達成されたとき、達成できなくなったとき
2、受託者と受益者が1年間同じとき
3、受託者がいなくなった後、新しい受託者が1年間就任しないとき
1は、信託は「〇〇の目的」を達成するために行うものですので、
その目的が達成されれば終了するのは当然です。
また反対に、信託の目的の実現が不可能であれば、信託を継続させても
意味がないので同じく終了します。
2、3は「受託者」として適正に信託財産の管理・処分ができない状態です
ので、信託を継続させることができないので終了になります。
法律で定められている以外には「受託者と受益者の合意」で終了すると
信託契約で定めるのが一般的です。
〇法律の定め及び合意以外の事由で信託が「強制終了」になることは防ぐべきです。
当事者が全く予想していない事情で信託終了する契約はNGです。
例えば、委託者(当初受益者)が生存中に信託が終了したとします。
「信託終了後の残余財産の帰属権利者」が、「その時点での受益者」であれば良いのですが、
もし残余財産の帰属権利者が、受益者とは別人であれば、帰属権利者に贈与税が課税されます。
信託終了時に「受益権」は通常の「所有権」に権利の性質が変わりますので、
「受益者」は「所有者」となりますが、帰属権利者が別人であれば、
「所有者」から「帰属権利者」へ「贈与」になってしまうからです。
信託契約で「信託終了に伴う残余財産の帰属権利者は、終了時点の受益者とする」と
定めることで、帰属権利者に贈与税が課されることを防ぐことができます。
司法書士・行政書士西本清隆事務所
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