「民事信託(家族信託)」で柔軟な財産承継・財産管理を

熊本では、まだまだ認知・活用事例が少ないのですが、

「遺言」では解決できない財産承継・「成年後見」を超える

財産管理の方法として、「民事信託」という制度があります。

 

「信託」というと、何だか「投資信託」のように、金銭の運用で

利益を得たり・損失がでたりするケースをイメージされると思います。

本日から、そのようなイメージを覆すような事例・制度を紹介していきます。

 

従来からの財産承継・財産管理の方法である「遺言」「成年後見」と

比べて柔軟なスキームを組み立てることができます。

 

ただ、イメージが掴めないと思いますので、「民事信託」の活用事例を

ひとつを見てみましょう。

 

Aさん(80歳)は、先祖代々の土地を所有しており、

自分が亡くなったら、妻のBさんに相続させたいと考えています。

ただ、Aさん夫婦には子どもはいませんので、このままではBさんが

亡くなった後には、妻の兄弟が相続することになってしまいます。

 

先祖代々の土地なので、Aさんは自分の甥であるCさんに承継させたいと

考えているのですが、可能なのでしょうか?

 

 

このケースを従来の「遺言・相続」で行おうとすると

1.AさんからBさんへ相続させる遺言書を作成する。

2.BさんからCさんへ遺贈する旨の遺言書を作成する。

ということで、可能とも思えます。

 

しかし、BさんはCさんよりも、自分の兄弟やその甥・姪にあげたいと

思うことが一般的かもしれません。

そうすると、Cさんへの承継は難しいそうですね。

 

じゃあ、Aさんが「Bへ相続させる。Bが亡くなったら、Cへ相続(遺贈)させる」

旨の遺言書を作成すれば??と考えられるかもしれません。

 

しかし、遺言では財産を承継する人を連続して決めることはできないのです。

 

Aさんが死亡すれば、土地はBさんの所有物になります。

Bさんは自分が所有する財産を、だれに相続させるかは、

所有者であるBさんの自由に決めることになるからです。

 

 

そこで「民事信託」の登場となります。

 

先祖代々の土地を「信託財産」とし、「受益権」を次々と承継させる内容

を契約又は遺言で決めておきます。

 

委託者   Aさん

受託者   Cさん

受益者   Aさん、Aさん死亡後はBさん

信託財産  先祖代々の土地

その他   Bさんが亡くなった時に民事信託は終了し、Cさんに土地が帰属する

 

上記のようなスキームをすれば、先祖代々の土地をCさんへ承継させることが

可能になります。

 

<用語解説>

委託者:信託する財産のもともとの所有者で、信託をお願いする人

受託者:委託者からの信頼に基づいて、財産の管理・処分等をお願いされた人

受益者:信託された財産から生じる利益を受ける人

 

 

民事信託を活用した財産承継のひとつの事例ではありますが、民事信託は、決して

定型的にできるものではありません。

100人いれば100パターンの信託のスキームがあります。

 

また、いろいろな事例を掲載していきます。

 

家族・親族内で財産を信託することになるのが基本ですので、「家族信託」とも言われます。

 

なお、家族信託は一般社団法人家族信託普及協会の登録商標です。

 

 

司法書士・行政書士西本清隆事務所

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