成年後見の申立書の注意点、費用
後見等開始の審判については、条文上、本人、配偶者、
4親等内の親族等が申立てができるとなっています。
(民法7条、11条、15条)
条文上は、後見開始の審判申立てにおいても、
本人が申立人となることができる旨が規定されていますが、
成年後見に該当しうる人は、判断能力を常に欠いている状態です。
よって、ご本人において、後見開始の審判を申立てる
ことは困難かと思われます。
したがって、申立人になることができないわけではありませんが、
現実的には申立人になることは難しいと考えた方がよさそうです。
申立人になる親族がいない または、親族はいるが、
申立てに協力をしてくれないケースで後見開始の審判が必要な場合で、
本人申立てができないときは、市町村へ審判申し立ての要請を行います。
そして、市町村長が本人のために審判申立てが必要と認めるときは、
市町村長権限で申立てを行います
後見等開始の審判事件は、本人の住所地を管轄する家庭裁判所の
管轄に属するとされています(家事事件手続法114条1項)
どの裁判所の管轄に該当するかは、単に住民票上の住所がある
ということではなく、本人の生活の本拠がどこにあるかで判断します。
例えば、ご本人の住民票は八代市にある場合でも、
実際は、熊本市の有料老人ホームに入所されていて、
そこで生活をされているのであれば、熊本市を管轄する
熊本家庭裁判所の本庁に後見開始の審判申立てをする
ことになります。
申立ての理由には次のようなことを記載します
- 本人の医学的状況(どのような理由で判断能力が低下しているか)
- 本人の家族の状況
- 成年後見人等が必要な理由(申立の動機)
- 成年後見人等の候補者及び候補者が後見人等に適任である旨
- 申立費用を本人負担とする場合は、その旨
本人の医学的状況については、診断書の記載を基に
申立書に記入すれば結構です。
後見人候補者は、親族等で候補者がいれば、
候補者の住所・氏名・職業等を記載します。
後見人候補者に記載された人が、必ずしも
成年後見人に選任されるとは限りません。
特に次のような事情がある場合は、
第三者後見人や、後見監督人が選任される
可能性が高いものと思われます。
①親族間で財産管理や身上監護等について
トラブルが発生しているとき
②財産がたくさんあるとき
③解決しなければならない問題
(遺産分割協議・財産の処分)があるとき
また、適当な候補者がいない場合には
後見人候補者の欄は、空欄でも構いません。
その場合には、家庭裁判所が弁護士・司法書士・
社会福祉士等から成年後見人を選任することに
なります。
申立ての添付書類の中に、本人の財産目録がありますが、
本人以外が申立人となる場合、本人の財産について、
そのすべてを調査するのは困難です。
したがって、本人の財産内容が一部不明な場合でも、
後見等開始の審判申立てはもちろん可能です。
その場合、財産目録には、調査で判明した部分
(例えば、金融機関名や支店名など)のみを記載し、
分からない部分については、不明と記載すれば大丈夫です。
後見開始の審判には次の費用がかかります。
収入印紙(申立用)
後見開始・保佐開始 800円
保佐開始+代理権付与 1600円
補助開始+同意権付与(または代理権付与) 1600円
補助開始+同意権付与+代理権付与 2400円
収入印紙(登記用) 2600円
予納郵券 後見の場合 3962円
保佐・補助の場合 5176円
(熊本家庭裁判所の場合)
鑑定費用 5~10万円 ※鑑定が実施されないときもある
司法書士等へ書類作成を依頼する場合の司法書士報酬
司法書士・行政書士西本清隆事務所
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