「任意後見人」と「受託者」の関係
任意後見人は、本人が元気な時に
自分が認知症などで、意思表示が
難しくなった時に備えて、財産管理や
契約代行をお願いされる人です。
家族信託の受託者も同様に
本人が元気な時に、財産の管理・処分を
任される存在です。
♦どちらも一見似たような存在ですが、
役割権限や開始時期が異なります。
1.財産管理の権限を持つタイミング
①任意後見人は契約を締結した段階では
まだ何も権限はありません。
本人が認知症などで意思表示の困難になり、
裁判所が監督人を選任した時にはじめて、
契約に基づいた権限が付与されます。
②家族信託の受託者は、契約中で条件をつけない
限り、契約をしたと同時に、契約で定めた
財産の管理・処分する権限を持ちます。
2.財産の管理方法のスタンス
①任意後見人は「本人の財産を減らさない」
スタンスで財産管理を行います。
よって、資産の価値を増加させる行為
(貸アパートのリフォーム工事など)が、
できない可能性もあります。
(リフォーム工事の費用分の財産が減って
しまうから)
手元にリフォーム工事の費用がない場合に
金融機関からリフォームローンを借入れる
ことはできません。
②家族信託の受託者は、信託契約の目的に
沿って、付与された権限の範囲内で
財産管理を行います。
貸アパートのリフォーム工事についても
信託の目的に照らして合致するならば、
受託者はリフォーム工事の契約をする
ことも可能です。
また、受託者自身が金融機関から
ローンを借入れることも可能です。
♦では、親が信頼している子どもを
任意後見人受託者の双方として
選任することは可能なのでしょうか?
①任意後見人・受託者の兼任自体は
制限されていませんので可能です。
親が元気な時に家族信託と任意後見契約の
両方を薦める専門家も多いです。
大きな財産は家族信託で管理して、
日常生活に使用する年金口座や
身の回りの契約を行う役割を
後見制度を活用することで、
役割分担をするイメージです。
②ただ後見人は、受益者である本人
に代わって財産管理の代理権を持ちます。
受益者の代わりに受託者の監督したり、
信託の意思決定に関わることも可能です。
受益者と後見人は、利益相反の関係に
なってしまいますので、できれば
同一人物は避けた方が無難だと思います。
ただ、核家族化が進む中、近くに信頼できる人が
2人もいないということもあります。
その場合には、任意後見契約を締結する際には
信託財産に関する財産管理の代理権を除くこと
などの対応が必要かもしれません。
<用語解説>
委託者:信託する財産のもともとの所有者で、信託をお願いする人
受託者:委託者からの信頼に基づいて、財産の管理・処分等を任された人
受益者:信託された財産から生じる利益を受ける人
※「家族信託」は一般社団法人家族信託普及協会の登録商標です。
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