会社への貸付金を株式に変える!?
突然ですが、DES「デット・エクイティ・スワップ」をご存じでしょうか?
デット(債務・負債)とエクイティ(資本)をスワップ(交換)すること、
簡単にいうと債務を株式へ変更することです。
株式会社が資金を調達する方法は、「借入れをする」又は「株式を発行して資金を集める」
2つが主な方法です。
株式会社が株式を新規に発行する(募集株式発行)場合、株式の払い込みである出資は
金銭で行うことが原則です。
会社にお金が入らなければ意味がないですし、会社の財政基盤を確保する必要があるからです。
株式を得ようとするものが、金銭を出資することなく、会社に対する貸付金などの債権で
相殺することは禁止されています。
しかし、会社が金銭による払い込み(出資)にかえて、①不動産・動産等の金銭以外で出資を認め
②出資する財産およびその評価額を、会社のオーナーである株主総会の決議で決定すれば、
金銭以外の現物を出資することができ、株式を取得できます。
会社への貸付金を現物出資とすることもできます。
このように会社への債権(貸付金)を株式にすることが、「デット・エクイティ・スワップ」
になります。
〇デット・エクイティ・スワップ(DES)のメリット
①貸借対照表の負債が減少して純資産が増えます。
社長が会社へ2000万円の貸付金があったとし、これを「デット・エクイティ・スワップ」
にて株式に振り替えると、貸借対照表の負債の部がマイナス2000万円となり、
その分2000万円が純資産の部(資本金の部)が増加します。
結果として自己資本比率を高くなります。貸借対照表の見栄えが良くなり、
銀行からの運転資金の融資を得やすくなります。
②借入金の返済が不要になります。
貸付金であれば、返済期日に返済しなくてはなりませんが、株式にすることで返済を免れます。
「デット・エクイティ・スワップ」によって、会社債権者が株主になります。
株主は会社のオーナーですから、会社の意思決定に参画します。
大口の債権者が第三者の場合には、会社の大株主となりますので、会社経営権を
奪われる可能性がありますので、注意が必要です。
一方、社長の会社に対する貸付金を「デット・エクイティ・スワップ」によって、
株式にするのであれば、社長の保有する株式が増加するだけであり、経営面においても
安定しますので効果的です。
〇デット・エクイティ・スワップ(DES)の手続き
「デット・エクイティ・スワップ」は、以前からあった制度です。
ただ、以前は一定の場合を除き、裁判所が選任する「検査役の調査」
又は「弁護士・公認会計士・税理士」財産の評価額が相当である旨の証明が必要でした。
検査役又は弁護士等の報酬の支払いや、検査役の調査期間が数か月は必要になったので、
活用されることは多くはありませんでした。
法律の改正により、総勘定元帳など当該金銭債権の金額・債権者名が記載してある会計帳簿を
登記申請書に添付するだけで済みます。検査役や弁護士等の証明が不要になりました。
これにより、「デット・エクイティ・スワップ」の手続きは簡便になりました。
司法書士・行政書士西本清隆事務所
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