「社債と株式の違い」と少人数私募債

会社の資金調達手段として、募集株式の発行(新株発行)の他に

会社にだけ認められる制度として、「社債」の発行があります。

社債は、借入金と同じく、一定の期間が経過すると社債権者(社債を取得した人)に

出資された金額を償還(返済)しなくてはいけない、会社の債務にあたります。

 

株式会社に出資して株主になっても、出資金を取り戻すことはできません。

その代わりに会社の利益配当を受けたり、会社の意思決定に参画することが

できます。

 

社債を取得した者(社債権者)は、予め決められた時に返済を受けることができます。

一方、会社への債権者であって、株主ではありませんので、会社の経営への参画はできません。

 

社債は、株式会社だけでなく持分会社(合同会社・合名会社・合資会社)でも

発行することが可能です。

 

社債の金額は均一でなくても構いません

1000万円の資金調達するのに、「1口10万円の社債を100口」でも良いですし、

「1口100万円の社債を5口・1口50万円の社債を10口」発行しても大丈夫です。

 

社債を発行する場合には、原則として社債管理者が必要になります。

社債管理者は、銀行・信託銀行等です。大衆から資金を集める以上、

きちっとした管理を行うことが要求されます。

 

 

社債の発行手続

社債の発行手続は、募集株式の発行と似ています。

社債の総額・利率・償還期限等を決定して、応募をします。

 

募集事項の決定は取締役(会)の決議で行うことが可能ですので、

原則として、株主総会の決議を要しません。

募集株式の発行手続きよりも、短期間で資金調達が可能です。

 

また、社債の発行の有無は、会社の登記記録には記載されません。

つまり、社債を発行しても登記手続きは不要になります。

 

社債はあくまで債務なので株式と異なり、返済することになります。

今後の売上見込みやキャッシュフローに応じて、株式を発行するのか、

社債を発行するのかを決めることになります。

 

 

 

少人数私募債

少人数私募債とは、社債の引受人が会社の縁故者・取引先等に限定されている

社債のことです。投資家一般に引受けてもらうことはできません。

 

「社債の発行総額金額が1億円未満」かつ「社債の引受人が50名未満」である

ことが要件になります。

 

社債総額が1億円を超えると社債管理会社を設置する必要が出てきますが、

銀行・信託銀行への管理費用の支払いが中小企業にとっては、コストが負担になり、

社債発行のハードルが難しくなるからです。

 

少人数私募債は、金融商品取引法の制限を受けませんので、数千万円程度の資金調達

手段としては有益な制度です。

 

 

司法書士・行政書士西本清隆事務所

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