増資の払込みの有利・不利

会社が資本金を増加する際に、新たに株式に対する金銭の払込みが必要です。

その払込みする時期の定め方によって、会社にとって有利・不利の違いが

あることは、意外と知られていません。

 

会社が増資を行う場合に、株主になろうとする人から出資をしてもらうことに

なりますが、出資してもらうタイミングの定め方として、「払込期間」「払込期日」

という2つの方法があります。

 

払込期間は、「8月15日から8月31日まで」というように「期間」で定めます。

払込期日は「8月31日」という「期日」で定めます。

 

会社が、払込まれた金銭を資金として活用できるようになるには、

「払込期間」で定めた方が、便利です。

 

「払込期日」で定めた場合には、8月15日にAさんから100万円・

8月20日にBさんから200万円・8月23日にCさんから150万円が

払込まれても、期日である8月31日までは、払込まれた金銭は、

「申込証拠金としての預り金」に過ぎません。

よって、8月31日までは会社資金として利用することはできません。

 

なお、「払込期日」の場合、その期日に払込みをしないといけないと

誤解される方も多いですが、そんなことはありません。その期日前に

払込みしても大丈夫です。

ただ、株主になる日が「払込期日」というだけです。

 

 

これに対して「払込期間」であれば、上記の事例であれば、8月15日・

20日・23日にAさん・Bさん・Cさんは、それぞれ株主になりますし、

会社としても、払込まれた日から会社の資金になりますので、会社は

それを即活用することができます。

 

なので、会社からすれば絶対に払込期間が有利・便利です。

 

 

これから株式の引受人(出資して株主になる人)を募集する場合でも、

「今すぐに出資できる人」「1週間で出資できる人」「2ヶ月後には出資できる人」

がいたとしても、払込期間で定めれば、会社にとっても、出資者にとっても便利です。

会社としては、払込まれたら即、会社資金として活用できます。

また、出資者も株主としての地位をすぐに取得できます。

 

 

一方、上記に事例を2か月後を「払込期日」として定めた場合、払込期日までが、

時間がありすぎることで、「今すぐに出資できる人」「1週間で出資できる人」も

払込みをする時期が遅くなる可能性もあります。また、早期に出資してもらっても

期日が到来するまで、会社資金として活用できませんので、会社の資金不足になりかねません。

最悪として、「今すぐに出資できる人」が、翻意して出資を取りやめる可能性もあります。

 

増資する時は「払込期間」を定めて、株主を募集した方が安心できますね。

 

 

 

 

司法書士・行政書士西本清隆事務所

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