受託者の借入は債務控除できるのか?
〇母親(委託者兼受益者)と民事信託(家族信託)を締結し、
受託者となった子どもが「受託者の地位で」借入れを行い、
親から管理を任された、信託財産であるアパートの
大規模リフォームを行った事例を考えてみます。
その後、委託者兼受益者の母親が亡くなった場合、
相続人である「受託者たる子ども」は、母親の相続において
「債務控除」できるのでしょうか?
※債務控除:相続税の計算において、プラスの相続財産から
未払金・借金などのマイナスの相続財産を差し引くこと
〇民事信託(家族信託)の「受託者としての地位」で
信託財産であるアパートの価値を維持・高めるために
借り入れた資金(債務)は、信託財産の実質的なオーナー
である受益者(母親)に帰属すると考えるのが自然です。
その結果、受益者である母親の債務として、相続人である
子どもはその債務を控除して、相続税の申告ができます。
〇もし、受託者固有の債務(借金)になるならば、
以下のようなことが可能になります。
委託者兼受益者は子ども、受託者を母親とする内容の
民事信託(家族信託)の契約を締結します。
母親は「信託契約基づき、受託者として」融資を受けます。
その資金で収益用アパートを建築します。
そのアパートは信託財産として、受益者である子どもが
実質的なオーナーになります。
その後母親が亡くなれば、母親が「受託者として」
借り入れた資金は、母親固有の借金(債務)として、
子どもは相続放棄をして支払いを免れることができます。
自分よりも早く亡くなる可能性が極めて高い、
年老いた母親を受託者とすることで、
子どもはアパートは自分の物として取得しておきながら、
その建築資金である債務の負担を負わないということが
可能になります。
<用語解説>
委託者:信託する財産のもともとの所有者で、信託をお願いする人
受託者:委託者からの信頼に基づいて、財産の管理・処分等を任された人
受益者:信託された財産から生じる利益を受ける人
※「家族信託」は一般社団法人家族信託普及協会の登録商標です。
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