家族信託契約書の基本構成と作成時の注意点
家族信託契約書の基本構成と作成時の注意点―安心して資産管理を任せるために
近年、高齢化社会の進展とともに注目を集めているのが「家族信託(民事信託)」です。特に認知症などによる判断能力の低下に備えて、財産管理を家族に託す手段として利用されるケースが増えています。その中心となるのが「家族信託契約書」です。本記事では、家族信託契約書の基本構成や作成時に注意すべきポイントを、司法書士・行政書士の視点も交えて解説します。
家族信託契約書とは何か?
家族信託契約書とは、財産の所有者(委託者)が信頼できる家族(受託者)に財産の管理・運用を託す際に、その内容や条件を明文化した契約書です。この契約により、将来的に本人の判断能力が低下した場合でも、財産の凍結を防ぎ、スムーズな資産管理が可能になります。
信託銀行などの専門機関を利用せず、家族間で完結できる点が特徴であり、柔軟な設計ができる一方で、法律的な正確性や将来的なリスクへの配慮が求められます。
家族信託契約書の基本的な構成
家族信託契約書には、信託の内容を明確にするために、いくつかの基本的な要素が盛り込まれます。以下は主な構成要素です:
- 当事者の明記:委託者、受託者、受益者の氏名や住所などの情報を明確に記載します。
- 信託財産の特定:不動産や預貯金、有価証券など、信託の対象となる財産を具体的に示します。
- 信託の目的:財産管理の目的(例:老後の生活費の確保、相続対策など)を明確にします。
- 管理・処分の権限:受託者がどのように信託財産を管理・処分できるかについて規定します。
- 帰属権利者の定め:信託が終了した際、財産を誰に引き継ぐかを定めます。
- 信託期間と終了事由:契約の有効期間や終了のタイミングについて記載します。
- 報酬・費用の取り扱い:受託者が報酬を受け取るか否か、また費用の負担者を定めます。
- 補足条項:トラブル発生時の解決方法(仲裁や管轄裁判所など)を含めたその他必要な事項。
作成時に注意すべきポイント
家族信託契約書を作成する際には、以下のような重要な注意点があります:
- 法的な有効性の確保:
信託契約は民法および信託法に基づくものであり、記載内容に不備があると無効となる可能性があります。特に受託者の義務や権限の範囲を曖昧にしてしまうと、後のトラブルの元になります。 - 税務面での配慮:
家族信託により名義変更が生じる場合、契約書の内容次第で、贈与税が発生する可能性があります。専門家の確認が不可欠です。 - 公正証書化の検討:
任意で契約書を公正証書にすることで、証拠力を高め、後々のトラブル防止に役立ちます。特に不動産が信託財産に含まれる場合は、公正証書化を強く推奨します。 - 本人の意思確認と専門家の関与:
認知症が進行する前の段階で、委託者本人の意思をしっかり確認し、その内容を反映させることが重要です。行政書士や司法書士など士業が関与することで、形式・内容ともに法的に適正な契約書を作成することができます。
まとめ:専門家のサポートで安心できる家族信託を
家族信託契約書は、財産管理を家族に託すうえで欠かせない重要な書面です。しかし、柔軟性が高い反面、作成には法的・実務的な知識が求められ、自己判断だけで進めるのはリスクが伴います。とくに士業である行政書士や司法書士、税理士などのサポートを得ることで、トラブルのない信託契約が実現できます。家族の将来を見据えた安心の仕組みづくりの第一歩として、専門家に相談することをおすすめします。
司法書士・行政書士西本清隆事務所
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