相続した株式の評価と税金対策!計算方法・節税など
相続で株式を引き継いだあなた。 「どう扱えばいいのか分からない…」「相続税はどれくらい?」「売るべきか、持ち続けるべきか…」 そんな悩みを抱えていませんか?
実は、相続した株式の管理を誤ると、余計な税負担や価値の目減りにつながる可能性があります。 例えば、相続税の計算では「評価方法」が大きなポイント。
上場株式と非上場株式では算出基準が異なり、評価額の違いが税負担に大きく影響します。また、相続税の支払い期限10か月を過ぎると延滞税が発生するため、早めの対応が必須です。
「でも、具体的に何をすればいいの?」この記事では、株式の相続税計算の基本、節税対策、売却・名義変更の流れまで、専門的な視点で分かりやすく解説します。
司法書士 西本清隆事務所は、相続手続きを専門とする法律事務所です。相続に伴う複雑な手続きや法律の不明点について、親身に寄り添いながらサポートいたします。遺産分割、遺言作成、相続放棄といった各種手続きを通じて、ご家族の大切な財産を円滑に受け継ぐためのお手伝いをいたします。初めての方にもわかりやすく説明し、安心して相続の問題を解決できるよう尽力いたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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相続した株式とは?基本知識と重要ポイント
相続は不動産や現金だけでなく、株式も対象となります。相続された株式は、適切な手続きを行わなければ、売却や名義変更ができず、トラブルに発展することもあります。相続した株式についての基本的な知識を整理し、現金や不動産との違い、手続きの流れ、そして相続後の選択肢について詳しく解説します。
株式相続の基本とは?現金・不動産との違い
株式相続は現金や不動産の相続と異なる点が多く、特に名義変更や税金の扱いに注意が必要です。それぞれの違いを整理し、相続時に考慮すべきポイントを説明します。
現金・不動産・株式の相続の違い
相続の対象となる財産には、現金、不動産、株式などがあります。以下の表で、それぞれの相続手続きや特徴を比較します。
財産の種類 | 相続時の手続き | 名義変更の必要性 | 相続税の計算方法 | 売却のしやすさ |
現金 | 遺産分割協議で分配 | 必要なし | 金額に応じて計算 | 簡単にできる |
不動産 | 名義変更登記が必要 | 必要 | 固定資産税評価額を基準 | 売却に時間がかかる |
株式 | 証券会社での名義変更 | 必要 | 相続時の終値を基準に評価 | 市場状況により変動 |
株式相続の特徴
- 価格の変動:相続時に決まる評価額とは異なり、その後の株価の変動によって資産価値が変わる。
- 名義変更が必須:現金と異なり、証券会社での名義変更が完了しないと、売却や配当金の受け取りができない。
- 相続税の計算が複雑:上場株式と非上場株式では、相続税の評価方法が異なる。
上場株式と非上場株式の相続手続きの違い
相続する株式が上場株式か非上場株式かによって、手続きや評価方法が大きく異なります。それぞれの特徴と手続きの流れを解説します。
上場株式の相続手続き
上場株式は市場で取引されているため、相続時の評価額は比較的明確です。手続きの流れは以下のとおりです。
- 証券会社に連絡:相続開始(被相続人の死亡)を証券会社に通知する。
- 必要書類の準備:
- 被相続人の戸籍謄本
- 相続人の戸籍謄本
- 遺産分割協議書(相続人が複数いる場合)
- 証券口座の開設(相続人が株式を受け取る場合)
- 証券会社による名義変更手続き:
- 手続きには数週間〜1ヶ月程度かかる。
- 変更完了後、相続人の口座に株式が移管される。
- 相続税の申告・納付:
- 相続時の終値で評価額を算出し、相続税を計算する。
非上場株式の相続手続き
非上場株式は市場での取引がないため、評価額の算出が難しく、手続きも複雑です。
- 株価の評価:
- 類似業種比準方式:同業他社の株価を基準に評価
- 純資産方式:会社の純資産を基に評価
- 遺産分割協議:
- 他の相続人と株式の分配方法を決定。
- 名義変更:
- 株主名簿の書き換えを行い、正式に相続人へ名義を移す。
- 事業承継対策:
- 会社の経営権に関わるため、事業承継税制の利用を検討。
株式の種類 | 名義変更の難易度 | 相続税の評価方法 | 売却のしやすさ |
上場株式 | 比較的容易 | 相続時の終値で計算 | 市場で自由に売却可能 |
非上場株式 | 複雑 | 純資産方式 or 類似業種比準方式 | 買い手を見つける必要あり |
相続した株をどうするべきか?持ち続ける・売却する・贈与する選択肢
相続した株式をどう扱うかは、今後の資産運用に大きく影響します。持ち続けるか、売却するか、贈与するか、それぞれのメリットとデメリットを解説します。
選択肢1持ち続ける
相続した株をそのまま保有し、将来的な値上がりや配当を狙う方法です。
メリット
- 株価が上昇すれば資産価値が増加する。
- 配当金や株主優待が得られる。
デメリット
株価の変動リスクがある。
- 企業の業績が悪化すると株価が下がる可能性がある。
選択肢2売却する
相続後にすぐに売却し、現金化する方法です。
メリット
- 資産を流動的に利用できる。
- 相続税の支払い資金を確保できる。
デメリット
- 売却益に対して譲渡所得税がかかる。
- 相続後3年以内に売却すると、相続税の負担調整が適用される。
選択肢3贈与する
相続した株を家族に贈与することで、相続税の節税につなげる方法です。
メリット
- 将来の相続税負担を軽減できる。
- 配偶者や子供への資産移転が可能。
デメリット
- 贈与税がかかる可能性がある。
- 110万円以上の贈与には申告が必要。
相続した株式の手続き
相続した株式の手続きを進めるには、証券会社への名義変更が不可欠です。適切に手続きを行わないと、売却や配当金の受け取りができず、相続税の申告にも影響を与える可能性があります。本記事では、証券会社での名義変更手続きの流れ、必要書類、複数の相続人がいる場合の対処方法、手続きを放置した場合のリスクについて詳しく解説します。
証券会社での名義変更手続きの流れ
相続した株式を正式に引き継ぐには、証券会社での名義変更が必要です。名義変更を完了しないと、株式の売却や配当金の受け取りができません。以下に、一般的な名義変更手続きの流れを説明します。
名義変更の流れ
- 証券会社への連絡
- 被相続人(亡くなった方)の証券会社に連絡し、相続手続きの開始を伝える。
- 証券会社によって手続きの詳細が異なるため、必要書類や手順を確認。
- 必要書類の準備
- 戸籍謄本(被相続人と相続人の続柄がわかるもの)
- 遺産分割協議書(相続人が複数いる場合)
- 相続人の本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)
- 証券口座の開設書類(相続人が新規で口座を作る場合)
- 証券会社での名義変更手続き
- 書類を提出し、証券会社が手続きを進める。
- 手続き完了までに2週間~1ヶ月程度かかる場合がある。
- 名義変更完了後の対応
- 相続人の証券口座に株式が移管される。
- 必要に応じて、株式を売却するか、保有し続けるかを決定する。
項目 | 詳細 |
手続き開始 | 証券会社へ連絡し、必要書類を確認 |
書類提出 | 戸籍謄本、遺産分割協議書、本人確認書類など |
手続き期間 | 2週間~1ヶ月 |
名義変更完了 | 相続人の証券口座に株式が移管 |
名義変更をスムーズに進めるためには、事前に必要書類を揃え、証券会社の指示に従って手続きを進めることが重要です。
相続人が複数いる場合の名義変更手続き
株式を相続する際、相続人が複数いる場合は、株式の分割や管理方法について慎重に検討する必要があります。遺産分割協議を行い、合意が得られた後でなければ、名義変更手続きを進めることができません。
複数の相続人がいる場合の対応
- 遺言書の有無を確認
- 被相続人が遺言を残している場合、その内容に従って株式の分配が行われる。
- 遺産分割協議の実施
- 遺言がない場合、相続人全員で話し合いを行い、株式をどのように分配するかを決定する。
- 協議の結果を遺産分割協議書に記載し、相続人全員が署名・押印する。
- 株式の分割方法の決定
- 共有名義にする:相続人全員の共同名義とする。
- 特定の相続人が取得する:一人の相続人が株式を取得し、他の相続人に代償金を支払う。
- 売却して現金化する:相続人全員で株式を売却し、得た資金を分配する。
株式分割方法 | メリット | デメリット |
共有名義 | 相続人全員が平等に管理できる | 売却時に全員の同意が必要 |
特定の相続人が取得 | 事業継承や管理がスムーズ | 他の相続人との合意が必要 |
売却して現金化 | すぐに資産を分割できる | 株価変動の影響を受ける |
遺産分割協議がまとまらない場合は、家庭裁判所での調停手続きを利用することも可能です。
必要書類と取得方法(戸籍謄本・遺産分割協議書・証券口座の証明書)
証券会社での名義変更には、特定の書類が必要です。それぞれの取得方法や注意点を紹介します。
必要書類一覧
書類 | 取得先 | 注意点 |
被相続人の戸籍謄本 | 市区町村役場 | 出生から死亡までの連続した戸籍が必要 |
相続人の戸籍謄本 | 市区町村役場 | 相続人全員分を用意する |
遺産分割協議書 | 作成後、相続人全員が署名・押印 | 公証役場での認証を推奨 |
証券口座の証明書 | 証券会社 | 被相続人が保有していた証券の確認が必要 |
書類を揃える際には、役所や証券会社の営業日・受付時間を確認し、余裕を持って手続きを進めることが重要です。
株式相続の評価と相続税
株式相続税の計算方法
相続した株式の評価額は、相続税の計算において重要なポイントです。株式の評価方法は上場株式と非上場株式で異なり、それぞれの基準を理解することで、適切な納税計画を立てることが可能になります。
1. 上場株式の相続税評価額の計算方法
上場株式は市場での価格が明確なため、相続税評価額は次の3つの価格のうち最も低い価格を基準に決まります。
- ①相続開始日の終値
- ②相続開始月の月間平均株価
- ③相続開始前2ヶ月の月間平均株価のうち最も低い価格
たとえば、A社の株を相続した場合の評価は次のように計算できます。
評価基準 | 株価(円) |
相続開始日の終値 | 3,500 |
相続開始月の平均株価 | 3,450 |
相続開始前2ヶ月の最安値 | 3,400 |
この場合、最も低い3,400円が相続税評価額となります。
2. 非上場株式(未公開株)の相続税評価額の計算方法
非上場株式の評価は、類似業種比準価額と純資産価額の2つの方法で算出されます。
- 類似業種比準価額:類似する上場企業の株価や財務データをもとに評価
- 純資産価額:会社の純資産(資産総額から負債を引いた額)を基準に評価
どちらの方法を適用するかは、会社の事業規模や利益状況によって異なります。
3. 相続税率と基礎控除額
相続税の課税対象額は、基礎控除を引いた後の財産価額に応じて以下の税率が適用されます。
課税価格(万円) | 税率(%) | 控除額(万円) |
1,000以下 | 10% | なし |
3,000以下 | 15% | 50 |
5,000以下 | 20% | 200 |
1億円以下 | 30% | 700 |
3億円以下 | 40% | 1,700 |
3億円超 | 50% | 4,700 |
相続税が発生するケースと発生しないケース
相続税が必ずしも発生するわけではなく、一定の条件を満たせば相続税を支払わずに済むケースもあります。
1. 相続税が発生するケース
- 相続財産の総額が基礎控除を超えた場合
- 親が株式を多く所有し、遺産の多くが金融資産だった場合
- 配偶者以外の相続人(子・兄弟姉妹)が相続した場合
2. 相続税が発生しないケース
- 基礎控除以下の財産の場合
→ 基礎控除の計算式:「3,000万円+600万円×法定相続人の数」 - 配偶者が相続した場合(配偶者控除)
→ 1億6,000万円までは相続税がかからない - 相続時精算課税制度を利用した場合
→ 2,500万円まで非課税
生前贈与と相続税対策
相続税を抑えるために、生前贈与を活用する方法があります。
1. 暦年贈与制度
毎年110万円までの贈与は非課税であり、長期間にわたって財産を移転することで相続税を減らせます。
贈与額 | 非課税枠 | 課税対象額 |
100万円 | 110万円 | 0円 |
200万円 | 110万円 | 90万円 |
500万円 | 110万円 | 390万円 |
2. 相続時精算課税制度
- 60歳以上の親が18歳以上の子供に対して贈与する場合、2,500万円まで非課税
- ただし、相続時に贈与額が相続財産として加算される
配偶者・兄弟で相続税の負担はどう変わる?
相続人の立場によって税負担が変わります。
1. 配偶者が相続する場合
配偶者には1億6,000万円または法定相続分のいずれか多い金額まで非課税となる特例があります。
相続財産 | 課税対象額(配偶者) |
1億円 | 0円 |
2億円 | 4,000万円 |
3億円 | 1億4,000万円 |
2. 兄弟が相続する場合
兄弟姉妹には配偶者控除が適用されず、法定相続分にかかわらず相続税の対象となります。
相続税が払えない場合の対策
相続税の納税額が大きすぎて支払えない場合、以下の方法で対処できます。
1. 延納(分割払い)
- 5年以上の分割払いが可能
- 金利がかかるが、現金負担を分散できる
2. 物納(不動産・株式での納税)
- 現金がない場合、相続した株式や不動産で納税が可能
- ただし、審査が厳しい
3. 株式の売却
- 相続した株を売却して納税資金を確保
- 株価の変動に注意が必要
以上のように、株式の相続税は評価額の計算方法や節税対策を知ることで適切に対処できます。計画的に資産管理を行い、税負担を軽減する対策を講じることが重要です。
まとめ
相続した株式をどのように扱うかは、将来的な資産価値や税負担を左右する重要な選択です。上場株式と非上場株式では評価方法や手続きが異なり、それに伴う相続税の計算も変わります。特に、相続税の申告期限10か月を過ぎると延滞税が発生するため、早めの対応が必要です。
相続した株式を売却するか保有し続けるかの判断には、市場価値・将来性・税金負担など、複数の要素を考慮する必要があります。相続した株をすぐに売却すると、譲渡所得税が発生する可能性があるため、売却タイミングを慎重に見極めましょう。一方、長期保有する場合も、配当金や株価変動リスクを理解し、戦略的に管理することが重要です。
節税対策として「生前贈与」を活用する方法もあります。贈与税の年間基礎控除110万円を活用し、計画的に資産を移転することで、相続税の負担を軽減できる可能性があります。ただし、相続開始前3年以内の贈与は相続財産に加算されるため、早めの対策がカギとなります。
相続した株式の取り扱いに迷った場合は、税理士やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談し、最適な選択肢を検討しましょう。適切な手続きを踏むことで、税負担を最小限に抑え、資産を有効に活用することができます。大切な資産を守るために、今すぐ最善の一手を考えましょう。
司法書士 西本清隆事務所は、相続手続きを専門とする法律事務所です。相続に伴う複雑な手続きや法律の不明点について、親身に寄り添いながらサポートいたします。遺産分割、遺言作成、相続放棄といった各種手続きを通じて、ご家族の大切な財産を円滑に受け継ぐためのお手伝いをいたします。初めての方にもわかりやすく説明し、安心して相続の問題を解決できるよう尽力いたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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よくある質問
Q. 相続した株式の名義変更はいつまでに行う必要がありますか?
A. 相続した株式の名義変更には法的な期限はありませんが、相続税の申告期限である10か月以内に手続きを進めるのが理想です。証券会社によっては手続きに1~2か月かかる場合があり、早めに着手しないと配当金の受け取りや売却ができない可能性があります。また、名義変更を長期間放置すると、相続人間の権利関係が複雑になり、余計なトラブルを招くこともあります。
Q. 相続税を軽減する方法はありますか?
A. 相続税を軽減する方法には、生前贈与の活用、小規模宅地等の特例、配偶者控除などがあります。特に生前贈与は、年間110万円までの基礎控除があるため、計画的に贈与を行うことで相続税の対象となる資産を減らすことができます。また、事業承継税制を活用すれば、一定条件のもとで非上場株式の相続税を納税猶予することも可能です。専門家に相談し、自分に最適な節税対策を検討することをおすすめします。
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