家族信託の受託者を複数にするリスク
家族信託では、財産の管理は受託者が行いますが、
受託者の信託財産の流用などを防ぐために、
受託者を複数人にしたいという要望もあります。
♦受託者を複数人にすることは可能ですが、
デメリットもあります。
信託事務の処理については、受託者の「過半数」で
意思決定することが基本です。
仮に受託者が2人の場合、「2人の過半数は2人」
になりますので、2人の意見が対立してしまうと大変です。
例えば、不動産を信託財産とする信託において、
受託者を委託者の長男と長女にした場合、
当該不動産の登記簿には受託者2名の名前が
所有者欄に記載されます。
実質的に2名の共有状態のような形になりますので、
もし将来的に信託不動産を売却するとなったら、
受託者全員の実印と印鑑証明書が必要になります。
もし、売却することに関して長男と長女の意見が対立した場合、
不動産を売却することはできなくなります。
受託者を複数にするのではなく、受託者を1人にし、
もう1人は信託監督人や受益者代理人として、
信託に関与していくようことをおススメします。
なお、受託者が複数人いる場合、どちらか1人が
死亡等により受託者の任務を終了することになっても、
残った受託者が引続き信託事務を行うことができるので、
新たに受託者を選任する必要はありません。
司法書士・行政書士西本清隆事務所
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