清算型遺贈と遺言執行者による登記
「遺言執行者が、不動産を売却して
売却代金を遺贈する」旨の遺言が
ある場合、遺言執行者はどのような
手続きをするのでしょうか?
相続財産を売却してその売却代金を遺贈する
ことを「清算型遺贈」と言います。
♦遺言執行者は遺言の内容を実現する義務が
ありますので、亡くなった遺言作成者の
不動産を売却します。
では、亡くなった人の名義のままで不動産を
売却できるのか?というと、それはできません。
①不動産の登記簿には、所有権の変動過程を表すので、
「相続」により法定相続人の名義に変更することが
前提として必要になります。
相続人への名義変更は、遺言執行者が相続人に
代わって単独で行うことができます。
遺言執行者が単独で相続の名義変更ができなければ、
相続人が名義変更手続きをしないと、
遺言の内容を実現ができません。
②法定相続人の相続登記を行われるので、
相続人が売主となって不動産の売却処分を
することになりそうですが、売却は
遺言執行者が売主として行います。
相続人名義になった際に発行される
登記識別情報通知(権利証)は
遺言執行者が持ってますので、
売却手続きがスムーズにできます。
ただ、注意したいこととして、
登記簿は相続人名義になってますので、
相続人が勝手に処分できてしまう可能性が
ありますので、不動産の売買日が近くなって
上記①の相続登記を行う方が良いかもしれません。
♦無事に不動産の売却ができ、売却代金を
遺贈者に引き渡して完了になりますが、
その後気をつけたいことがあります。
相続人は財産を取得しないのですが、
形式上では相続人が不動産を取得して、
売却したことになりますので、
不動産を売却した際の利益に対する
譲渡所得税は「登記名義を取得した
相続人」に対して課税されます。
そこで、売却代金を引き渡す前に
譲渡所得税の額を計算して、その分を
控除して、遺贈者へ引き渡すことが
必要です。
もし、全額を引き渡すと、何も取得しない
相続人が自己負担で譲渡所得税を納付する
ことになり、トラブルになります。
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