成年後見にない家族信託のメリット
高齢者の財産管理の方法として「成年後見」と
「家族信託」がありますが、両者を比較して
家族信託にあるメリットをまとめてみました。
1.報告義務の有無
●成年後見:定期的な家庭裁判所への報告義務があります。
成年後見は、家庭裁判所の監督に基づく制度なので、
定期的に収支状況・財産状況・健康状態などを
報告することになります。
●家族信託:家族間での財産管理の仕組みなので、
家庭裁判所への報告は不要です。
信託監督人や受益者代理人などに報告させる
ことで、管理者の好き勝手な財産管理を
防止することはできます。
2.希望に沿った管理
●成年後見:法定後見の場合、家族間に紛争があったり、
本人が多額の財産がある場合には、弁護士や司法書士などの
専門家が成年後見人や監督人になることがあります。
●家族信託:自分が信頼できる親族に、確実に財産管理を
任せられます。家庭裁判所が関与しないので、契約で定めた
財産管理人が選任します。
3.報酬の有無・明確性
●成年後見:成年後見人の報酬が発生します。
専門家が成年後見人になると年額20万円~60万円程度の
報酬が本人が亡くなるまで発生します。
親族が成年後見人になれば、報酬請求をしないことも
可能です。
●家族信託:管理者(受託者)の報酬は契約書で定めます。
無報酬でもよいですし、報酬額を定めても構いません。
予期しない報酬額が発生することはありません。
途中で信託契約を解除することもできますが、
その場合はそれ以降の報酬は発生しません。
4.活用できる対象者
●成年後見:健常者、身体に障がいある人・浪費家には
活用できません。成年後見は「意思疎通ができない人」を
保護する制度なので、意思疎通ができる人は、保護対象に
なりません。
●家族信託:浪費家の子どもが心配な親は、財産管理を
しっかりした他の親族に任せ、毎月一定の財産を
子どもに給付することもできます。
5.相続税対策などの柔軟な財産管理
●成年後見:相続税対策や保有資産の組み換えなどが
柔軟な財産管理はできません。
成年後見は「本人の財産を守る」制度なので、
相続税対策はできません。
●家族信託:管理者(受託者)に契約で財産に関する権限を
付与しておけば、権限に基づいて資産の組み換えなど
相続税対策も可能です。
6.遺産分割協議の有無
●成年後見:判断能力がない相続人が要る場合、
法定相続分の確保が必要になります。
遺産分割協議を行うには、成年後見人の関与のもと
家庭裁判所の許可が必要になり、法定相続分の
確保がされないと許可されません。
●家族信託:契約で定めた通りに財産が移動します。
遺産分割協議書も戸籍も不要です。
判断能力がない相続人が取得する財産の
有無も自由に決めることができますし、
判断能力がない相続人が財産を取得しても
管理者(受託者)が財産管理を行うので
安心です。
司法書士・行政書士西本清隆事務所
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