委託者の地位と登録免許税
家族信託の契約で委託者が死亡したら
終了して、委託者の相続人に
財産が帰属する場合の登録免許税は
相続と同じになるのでしょうか?
委託者:父親X
受託者:子どもA
受益者が:父親X
帰属権利者:子どもA
という事例で考えてみます。
相続の名義変更の登記手数料
(登録免許税)は、不動産の
固定資産税評価額の0.4%と
軽減されています。
信託終了後に委託者の相続人が
財産を取得するならば、相続と
同じ扱いになりそうです。
♦登録免許税第7条第2項で
相続と同じ税率の適用を
受ける要件が規定されてます。
①信託財産を受益者が取得する
②信託発生時から委託者のみが
信託財産の元本の受益者である
(簡単に言うと自益信託を
最初から継続していること)
③上記①の受益者が当該信託の
効力発生時の委託者の相続人
である
信託後の清算中には、帰属権利者は
受益者とみなされますので、子どもAが
財産を取得場合には、①及び③の要件に
あてはまります。
♦問題は②の要件にあてはまるか?です。
「本件信託に係る委託者の地位は、
残余財産の帰属権利者が取得し、
委託者の権利は相続で承継されずに
消滅する」事例照会に対する
平成30年12月18日名古屋国税局の
回答が一つの指針になります。
「委託者の地位を帰属権利者が取得
する場合」には、帰属権利者Aは
「受益者」及び「委託者」の地位を
持ちますので、「引き続き委託者のみが
信託財産の元本の受益者である場合」に
該当します。
「委託者の地位が帰属権利者に明確に
引き継がれている場合には0.4%の
登録免許税が適用されることになります。
♦委託者の地位が帰属権利者に引き継がれる
ことが記載されていない場合、登録免許税の
軽減措置の適用が受けられないという
ものではありません。
登記実務上では、「自益信託が継続し、
相続人が帰属権利者の場合」には
登録免許税の軽減措置の適用が
されています。
今後も明確に取り扱いが変更されない限り、
特段影響を受けないと思います。
ただ、万一のリスクを考慮するならば、
委託者が死亡して終了するケースでも
「委託者の地位は、帰属権利者が承継する」
旨の条項を備えておいた方が良いと思います。
<用語解説>
委託者:信託する財産のもともとの所有者で、信託をお願いする人
受託者:委託者からの信頼に基づいて、財産の管理・処分等を任された人
受益者:信託された財産から生じる利益を受ける人
※「家族信託」は一般社団法人家族信託普及協会の登録商標です。
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