法務局の遺言書保管制度とは!?
自分が亡くなった後の財産等について
自分の想いを残しておく遺言書には、
「自筆証書遺言」「公正証書遺言」
「秘密証書遺言」の3種類があります。
作成される遺言書のほとんどは、
「自筆証書遺言」「公正証書遺言」です。
自筆証書遺言の作成件数は調査不能ですが、
公正証書遺言の作成件数は年間10万件程です。
♦自筆証書遺言は、いつでも作成でき
作成費用も不要という利点があります。
一方、専門家が関与しないので、
形式面の不備により、無効となる
こともあります。
また、親族が発見できなかったり、
偽造・破棄されることもあり得ます。
そこで、自筆証書遺言のメリットを残し、
できる限り不便を解消する制度として、
自筆証書遺言の「法務局による保管制度」が
新たに令和2年7月10日から始まります。
内容は以下の通りです。
保管される遺言書は自筆証書遺言のみです。
法務局が遺言書の原本およびデータを保管します。
遺言書保管法第4条第3項によれば、
遺言書を保管できる法務局は、
遺言者の住所もしくは本籍地、
又は不動産の所在地を管轄する
法務局となります。
♦現在、自筆証書遺言に基づいて
財産の移転を行おうとする場合には、
家庭裁判所による検認手続を経なければ、
不動産の名義変更をしたり、
預金を払い戻したりすることはできません。
保管制度を活用することで、家庭裁判所の
検認手続が不要となります。
公的機関である法務局で保管されますので、
偽造される恐れがないからです。
♦ただし、法務局の保管制度は、あくまで
遺言書自らが作成する「自筆証書遺言」を
保管するものなので、形式不備な遺言書の
保管申し出があった場合など、
法務局の確認・アドバイスがなければ、
「無効の遺言書」を保管するだけ
になってしまいます。
法務局が形式面の不備をチェックしてくれるか
現時点では不明ですが、現場の負担や責任を
考慮すると、あくまで「保管するだけ」になる
のではないかと推測されます。
公証役場で作成する「公正証書遺言」であれば
検認手続きも不要で、形式面の不備で無効になる
恐れがありませんので、少し費用が必要ですが、
「公正証書遺言」の作成が安心ですね。
※本記事の記載内容は、2019年12月現在の
法令・情報等に基づいています。
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