贈与と家族信託の比較
親居住の自宅売却して、売却費用を
老人ホームの費用に充てたいという
ニーズは多いです。
ただ親が高齢のため、自宅の売却に
少し時間がかかる場合に、その間に
親が認知症になるリスクが生じます。
そこで、自宅を子ども名義にして、
子どもが売主として、自宅を
売却する方法もあります。
自宅名義を子どもにする方法として
「贈与」又は「家族信託」の
選択をすることになります。
評価額2000万円の自宅のケースで
両者のコスト面を比較してみました。
1.生前に親が子どもに贈与し、その後
子どもが不動産を売却する場合
①登記簿名義を長男に変更する費用
(登録免許税)
2000万円×2%=40万円を
法務局に納付します。
②不動産取得税
2000万円×3%=60万円
名義を変更すると、数か月~半年ほどで
県税事務所から請求が届きます。
③贈与税
自宅を取得した子どもが支払います。
2000万円-110万円=1890万円
1890万円×45%=850万円
850万円-265万円=585万円
(相続時精算課税制度を活用しない場合)
④売却利益に対しての譲渡所得税
子どもが別居している場合では、
最大約380万円の譲渡所得税が
課税されます。
合計すると最大約1065万円の
税金を支払うことになります。
2000万円で売却しても約半分は
税金として納めることになります。
2.家族信託を活用して、子どもに
自宅の管理・処分権限を与えて、
子どもが自宅を売却する場合
①登録免許税
2000万円×0・4%=8万円
②不動産取得税 0円
家族信託を設定し、子どもに名義を変更しても、
実質的な自宅の権利(自宅を利用する権利・
売却費用を受取る権利)は親のままなので、
権利の移動はないものとみなされます。
③贈与税 0円
これも上記②と同じ理由で課税されません。
④売却した際の譲渡所得税 0円
親が居住していた自宅不動産の場合
3000万円までは課税されません。
贈与と違い、家族信託を設定しても
自宅の実質的な権利は親が持ったまま
なので、子どもが同居していなくても、
居住用不動産3000万円の控除特例が
利用できるメリットがあります。
納める税は、登録免許税だけです。
専門家報酬や公証役場への手数料が
別途必要になりますが、贈与時に
かかる費用と比べると安いものです。
3.生前贈与も家族信託も自宅名義を
子ども名義にする点では同じですが、
かかるコストが全く違います。
どちらも子どもが売主となって、
売却できる点は同じですが、
家族信託の検討をしないことで、
高いコストを負担しないように
専門家選びは慎重に行うことが
大切です。
<用語解説>
委託者:信託する財産のもともとの所有者で、信託をお願いする人
受託者:委託者からの信頼に基づいて、財産の管理・処分等を任された人
受益者:信託された財産から生じる利益を受ける人
※「家族信託」は一般社団法人家族信託普及協会の登録商標です。
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