「議決権がない株式」の同意が必要!?
〇会社の出資者(株主)は会社の重要事項を決める場である
株主総会に出席して、議案の賛否の意思表示をする権限(議決権)
を持っています。
ただ、株式が分散していると株主も多くなり、会社の意思決定の
迅速性が害されることもあります。
会社は「議決権を持つ株式(普通株式)」のほかに、
「議決権が無い株式(無議決権株式)」を発行することで、
議決権を持つ株主の数を減らすことができます。
議決権が無い株式(無議決権株式)を持つ株主は、
当然、株主総会の議案に対して意思表示することは
できません。
「多数派のみに議決権を持たせ、少数派には議決権を与えない
ことで、多数派に有利な意思決定ができるようになる」ことが
多いのは事実ですが、そうはならないケースもあります。
〇例えば以下のようなケースです。
Aが60%・BとCが20%ずつの株式を保有しています。
Aは過半数以上の株式を保有しているので、株主総会ではAの意見で
大半のことを決定できますが、重要事項では3分の2以上の賛成が
必要なこともあります。
そこで、Cが保有している株式を「無議決権株式」にして、
議決権の数をAとBが保有する株式80個にすれば、そのうち
60個の株式を保有するAが議決権全体の75%を持ち、
Aだけでほとんどのことを決めることができます。
ただ注意が必要なのは、株式を複数種類にするときには、
通常の株主総会とは別個に株式の種類ごとの
株主総会の決議が必要なケースがあります。
「議決権がない株式」に不利益となる決議を株主総会で
行う場合には、別個に「議決権がない株式を持つ株主で
構成される株主総会の決議が必要」になります。
上記のケースでは、会社の多数株式を持つAが、
B・Cに不利益となることを通常の株主総会で決議したとしても、
BとCのみで開催される株主総会で否決されてしまえば、
通常の株主総会で行われた決議は無効になります。
「議決権がない株式」を発行することで、その株式を持つ
株主の同意が必要になることもありますので、その導入は
慎重に決したほうが良いでしょう。
司法書士・行政書士西本清隆事務所
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