家族信託を活用して自宅売却

〇「親も高齢になったので、1人暮らしも心配だ。

有料老人ホームに入所してもらいたい」

と考える方が増えてきています。

 

有料老人ホームに入所し生活するとなると、入居の際の

一時金の他に毎月20~30万円程度必要になります。

 

そこで、それまで親が住んでいた自宅を売却して施設費用を

捻出しようとする方も多いです。

ただ自宅を売却しようとしても、すぐに売却できれば良いですが、

なかなか売れないうちに、親の判断能力が低減するかもしれません。

 

もし、認知症など自分で売買契約ができなくなると、

仮に買いたい人が現れても売却できなくなり、

施設費用の支払いができなくなる可能性があります。

 

では、どのような対策をすればよいでしょうか?

考えられる方法をまとめてみました。

 

1.親から子どもへ生前に贈与する

生前贈与すれば、自宅は子どもの物になりますので、

親が認知症などになっても関係なく、子どもが契約する

ことで、自宅を売却できます。

 

ただ、デメリットとして税金の負担が大きいです。

3000万円の自宅(土地・建物)を贈与した場合、

贈与税・不動産取得税・登録免許税で1000万円以上の

税負担があります。

 

2.成年後見の活用

成年後見制度の目的は「本人の財産を守る」ことにあるので、

自宅を売却するには、「家庭裁判所の許可」が不可欠です。

 

当然、売却の許可が出るとは限りませんし、

裁判所の許可を得るにも時間がかかるというデメリットがあります。

 

3.家族信託の活用

自宅の権利(所有権)を「決める権利」と「もらう権利」に分けます。

 

「もらう権利」は親がそのまま持ちます(受益者)。「決める権利」は子どもに

任せます(受託者)。

 

子どもは、「決める権利」に基づき、「いつ、誰に、いくらで売るか」を決め、

売買契約などの手続きを行います。

 

自宅の売却代金は、「もらう権利」を持つ親が受領します。

売却代金は「信託財産である自宅」の価値が交換されたものなので、

受益者である親が取得しますが、「決める権利」を持つ管理者である

子ども(受託者)が管理します。

 

子どもは信託契約に基づいて、親の施設費用の支払いなど

「受益者である親のために」その金銭を活用します。

 

認知症など判断能力の低下のリスクがある場合や

面倒な手続きを子どもに任せたい場合には、

家族信託を検討する余地は十分にあります。

 

 

<用語解説>

委託者:信託する財産のもともとの所有者で、信託をお願いする人

受託者:委託者からの信頼に基づいて、財産の管理・処分等を任された人

受益者:信託された財産から生じる利益を受ける人

 

※「家族信託」は一般社団法人家族信託普及協会の登録商標です。

 

 

司法書士・行政書士西本清隆事務所

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