信託監督人と受益者代理人の役割
〇委託者・受託者・受益者以外の民事信託(家族信託)
の登場人物として「信託監督人」「受益者代理人」がいます。
1.信託監督人:受益者のために受託者を監視・監督する人
受益者は自分の権利を守るために、財産管理を任されている
受託者の職務内容を監督します。
しかし、受益者が高齢者・未成年者などの場合には、
受託者を監視・監督することが困難なケースもあります。
そのようなケースに受益者の代わりに受託者を監督する
「信託監督人」を選任します。
信託監督人には特に資格が必要ではありませんので、
未成年者・成年被後見人・被保佐人及び受託者以外は
信託監督人に就任できます。
弁護士・司法書士などの法律専門家は、
信託業法上から「受託者に就任できません」が、
「信託監督人への就任は可能」です。
法律専門家が就任する場合には、受託者の監督も当然行いますが、
「受託者のサポート」の役割で就任することが多いです。
家族信託はあくまで「家族・親族内での財産管理」なので、
「何をどうするのか分からない」こともあると思います。
専門家が受託者のサポート役として信託監督人に就任する
ことが期待されます。
2.受益者代理人:受益者のために受益者の権利を行使する人
受益者が受託者を監視・監督したり、意思決定を行いますが、
受益者が未成年・高齢者・知的障がい者の場合には、
受益者として権利を行使することは困難です。
そのような場合に受益者に代わり、受益者の権利を行使する
「受益者代理人」を選任することができます。
受益者代理人が選任されると、受益者本人は「受託者の監督・監視」
以外の権利行使ができなくなります。
受益者代理人は受益者の有する権限全てを行使できます。
家族信託の契約内容を、委託者又は受託者と共同で
(場合によっては受益者代理人が単独で)変更する
ことも可能です。
受益者代理人は、契約変更の権限などの非常に大きな権限を
有しますので、受益者代理人を置くのか、誰になってもらうかは
慎重に決めるべきです。
受益者代理人も信託監督人と同様に資格は必要なく
未成年者・成年被後見人・被保佐人及び受託者以外は
受益者代理人に就任できます。
3.信託監督人・受益者代理人は双方とも受益者の権利を
保護する役割であり、設置するかどうか「任意」である
ことは共通しています。
ただ、信託監督人は受託者の監督が主な職務ですが、
受益者代理人は、受益者の代わりに「当事者に近い形」で
関わることになります。
信託監督人は当初契約で定めていなくても、特段の事情
があれば裁判所への申立てで信託監督人を選任できます。
受益者代理人は、当初契約で定めていない場合には、
選任することはできません。
双方とも契約書の中で報酬の定めがない場合には、
報酬の請求はできませんので、注意が必要です。
<用語解説>
委託者:信託する財産のもともとの所有者で、信託をお願いする人
受託者:委託者からの信頼に基づいて、財産の管理・処分等をお願いされた人
受益者:信託された財産から生じる利益を受ける人
※「家族信託」は一般社団法人家族信託普及協会の登録商標です。
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