株式にも色々な種類があります(2)
株主であることを表すものである「株式」は
現行法では9種類がありますが、今回は残りの
種類株式について説明します。
(5)取得請求権付株式:株主が保有している株式の
買取りを会社に対して請求できる株式
「プットオプション付株式」とも呼ばれます。
ほぼ全ての中小企業では、前回も記載しましたが
株式全てに「譲渡制限」の規定があり、
会社の承認なくては株式を譲渡できませんので、
株主は配当以外に経済的利益を確保することが困難です。
この「取得請求権付株式」を発行することで、株主は
会社に株式の買い取りを請求することが可能になる結果、
株主は、いつでも株式を現金等に換価できます。
会社経営に携わらない相続人に「取得請求権付株式」を
取得させることで、その相続人は会社に買い取らせることで
株式の分散化を防止することもできます。
(6)取得条項付株式:一定の条件が発生した時に、
会社が株主から株式を買い取ることができる株式
「コールオプション付株式」とも呼ばれます。
上記の取得請求権付株式は株主が主導して株式の買い取りを
請求するものでしたが、「取得条項付株式」は株式を保有する
会社が主導するものです。
一定の条件を「株主が死亡したとき」と定めておけば、
株主が亡くなっても、株主の相続人に株式が承継されず、
会社が株式を取得でき、株式の分散化を防ぐことができます。
(7)全部取得条項付株式:株主の決議により、会社がその種類の
株式を保有する株主から買取ることができる株式
活用されるケースは少ない株式ですが、
「100%減資」を行う場合に活用されます。
会社が発行する株式全てを「全部取得条項付株式」へ変更し、
会社が対価なしで株式を取得します。
その後、新たに出資をする株主に対して、その株式を交付します。
一言で言えば、「株主の総入れ替え」が円滑にできます。
(8)拒否権付株式:一定の事項について、この株式を保有する
株主総会の決議が必要となる株式
通常の株主総会・取締役会などで決議が可決されても、この株式を
保有する株主の同意が別途に必要になります。
この株式は「黄金株」と言われているほど、強力な権利を有します。
「拒否権付株式」は当初、事業承継に有効とされていました。
未熟な後継者に大部分の株式は譲るが、「拒否権条項付株式」を
元の経営者が保有することで、後継者の誤った判断を防ぐことが
期待されていました。
ただ、「拒否権条項付株式」を発行すれば会社の登記簿に記載され、
後継者の代表者は頼りないとの印象を与えてしまう可能性があり、
この種類株式が活用されるケースは稀です。
また、前回に記載した「属人株」を活用し、元の経営者の
議決権を多く設定することで、登記簿に記載されることなく、
同じ効果を作りだすことができます。
(9)役員選解任権付株式:この種類株式で構成される
株主総会で取締役・監査役を選任・解任できる株式
全ての株式に「譲渡制限」を設定している会社のみが
この株式を発行できます。
少数派の株主の代表として取締役・監査役を選任することが
できますし、多数派の株主によって少数派の取締役等が解任
されることを防ぐことができます。
司法書士・行政書士西本清隆事務所
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