株式にも色々な種類があります(1)

〇会社の株式(会社の株主であることを証明するもの)の

権利内容(配当を受ける権利・株主総会での議決権など)は、

全ての株式で同じであることが原則ですが、株式ごとに

異なる権利内容を定めることができます。

 

1.会社の「定款」(会社内部の基本ルール)で定めることで

会社の発行する株式の一部について、株式の権利内容に

差をつけることができます。

 

権利の内容が異なる株式を「種類株式」と言います。

 

現行法上では9種類の株式の発行ができます

今回はそのうちの4つを説明します。

 

①譲渡制限株式:会社(株主総会・取締役など)の承認がなければ、

譲渡することができない株式

 

株主は保有している株式を自由に譲渡できるのが原則なのですが、

株式の取引によって会社にとって「好ましくない人」が株主となり

会社経営に関与されたくない会社が多いです。

 

そこで、ほぼ全ての中小企業は発行する株式のすべてを

この譲渡制限株式としています。

 

②議決権制限株式:株主総会の議案に対する議決権の行使に

制限をつけた株式

 

株主の権利として、会社の重要事項(取締役選解任・合併・解散など)

を決定する株主総会に参加し、議案の可否について、

議決権を行使することができます。

 

制限を加える議決権については、「全ての議案につき議決権がない」

内容でも、「取締役の選任についてのみ議決権がない」ように

議決権の一部についてのみ制限することも可能です。

 

後継者の子どもには普通の内容の株式を与える一方、

会社経営に携わらない子どもには、議決権制限株式を与え

後継者の子どもが会社経営を安定して行えるようにする活用法があります。

 

なお、議決権制限株式の税務上の取り扱いですが、基本的に

普通株式との評価の差はありません。

 

③配当優先(劣後)株式:会社の利益配当について優先(劣後)して

配当を受けることになる株式

 

実際は中小企業で毎年コンスタントに配当を行っている会社は

多くありませんが、上場企業などの株主の大多数の興味は

議決権などの経営参加ではなく、利益配当にあります。

 

会社経営に参加しない株主の議決権を制限する代わりに

配当を優先して行う利益優先株式を交付するケースも

あります。

 

④残余財産分配優先(劣後)株式:会社が解散した時に

残った財産の分配を優先(劣後)的に受けることが

出来る株式

 

この残余財産分配に関する種類株式を発行するケースは

実際上は多くないです。

会社の解散→残余財産の分配を予め予定している会社は

稀だからです。

 

 

2.会社法上で「非公開会社(発行株式の全部が譲渡制限株式である会社)」

は、上記の②議決権制限株式③利益配当優先株式④残余財産分配優先株式につき、

株主ごとに異なる取扱いを行うことを定款で定めることができます。

 

株式ごとに異なる内容の取り扱いをする(種類株式)のではなく、

株主という「人の属性」によって、株式の内容が異なるものです。

 

例えば、株主Aには議決権があり、株主Bには議決権はない

という内容の定款を定めることが可能です。

このケースでは、会社が発行する株式に議決権の制限が

加えられているわけではありません。

 

ただその株式がAが取得すればAは議決権を行使できますし、

Aが所有する株式をBへ譲渡してもBは譲り受けた株式で

議決権を行使することはできません。

 

あくまで議決権を行使できるのはAのみとなります。

Aという「人の属性」に議決権は与えられているからです。

 

「人の属性」によって取扱いが異なるものであり、

株式によって内容が異なる「種類株式」ではありませんので、

会社の登記簿には記載されず、定款で規定されるのみです。

 

会社外部の人間には知られることなく定めることができるという

会社内部にとってはメリット・会社の株主になろうとする人には

リスクを伴うことになります。

 

 

司法書士・行政書士西本清隆事務所

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