保険金の受取人変更と遺言書

〇万一に備えて生命保険を契約されている方は

多いと思いますが、保険金の受取人を遺言書で

変更できることは、あまり知られていません。

 

生命保険の契約をする際には、保険金の受取人を

予め指定しておきますが、その後諸事情により

受取人の変更をすることも当然可能です。

 

通常は契約している保険会社に連絡して、

変更の手続きをすることで、受取人を変更します。

 

 

〇また、あまり知られていませんが、遺言書によって

遺言者本人の死亡時の受取人を変更することができます。

 

保険法が2010年に施行され、新たに遺言書で保険金の

受取人の変更ができるようになりました。

 

 

〇ただ、遺言で保険金の変更を定めた場合には、遺言執行の

迅速性が極めて重要になります。

 

保険の契約者について相続が開始すると、変更前の受取人は、

保険金の変更がされていることを知らずに、保険会社へ請求した場合、

保険会社は元々の受取人に対して保険金を支払うことになります。

 

つまり、変更前の受取人と変更後の受取人のどちらが先に保険会社へ

保険金を請求するのかで、受け取れることができる・できないが

決まってしまいます。

 

 

〇ですので、遺言書によって保険金の受取人を変更する場合には

遺言書は、「公正証書遺言」で作成し、且つ、遺言執行者を

定めておく方が重要になります。

 

これは、保険金の変更を遺言書で行うには「公正証書遺言以外の

遺言」ではダメというわけではなく、遺言執行の迅速さ、つまり

早く保険会社へ保険金の請求を行う必要があるからです。

 

自筆で作成する「自筆証書遺言」では、遺言書を開封する

「検認手続き」が必要になります。

 

検認手続きを行うには、相続関係を証明する戸籍謄本等を収集し、

家庭裁判所へ検認手続きの申立てを行います。

その後、相続人全員へ通知がされ、実際に開封される日が来るまで

相続開始後、数ヶ月の期間がかかります

 

また、遺言執行者がいなければ、相続人全員の実印・印鑑証明書が

必要になり、これを揃えるのに時間がかかってしまいます。

 

 

相続が発生し、随分時間が経過した後に、遺言書で自分が新たに

保険金の受取人だと請求しても、既に元々の受取人に保険金が

支払われた後だった・・ということも起こり得ます。

 

 

〇このようなことを防ぐためには、遺言書で保険金の受取人になる人に

保険証券を事前に渡しておくことが大切です。

 

同時に遺言執行が速やかにできるように、「検認手続きが不要」な

「公正証書遺言」で変更するようにし、「遺言執行者が単独」で

手続きができるようにしておくことが望ましいです。

 

 

司法書士・行政書士西本清隆事務所

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