家族信託での現金管理の方法
〇認知症になっても困ることないように現金・預貯金を
信託財産とする際には、どのような管理の方法があるのでしょうか？
１．現金で保管
現金をそのまま金庫等で管理する方法です。
信託契約書の信託財産目録に「現金〇〇万円」と
記載します。
現金が数百万円程度であれば、以下の信託口口座
（信託財産を管理する銀行口座）を特別に開設する
必要はないかもしれません。
ただ、信託財産は受託者（管理者）自身の財産とは
別個に管理する必要がありますが、現金の場合には、
外観から「委託者のお金」・「受託者のお金」と判別
できませんので、慎重に管理する必要があります。
２．信託口口座
銀行で「信託口口座」を開設し、信託された金銭を
銀行口座を利用して管理する方法です。
信託においては、信託財産を受託者（管理者）本人の
財産と分別して管理することが必要になりますが、
信託口口座という受託者本人とは別個の通帳で
金銭を管理しますので、分別して管理しやすいです。
ただ、実務上では「信託口口座」の開設に応じてくれる
金融機関は多くありません。
個別対応で信託口口座の開設を応じてくれる銀行でも
表向きは信託口口座の開設はしてないと回答する銀行も
あります。
信託口口座の開設が可能だと分かると、信託口口座開設の
申込みが殺到し、事務処理が追い付かなくなるからだと
思われます。
信託口口座の名義は「委託者Ａ 受託者Ｂ 信託口」や
「委託者Ａ 信託受託者Ｂ」などの表記がされます。
注意が必要なのが、「名ばかり信託口口座」です。
口座の名義は上記のような記載がされますが、実質は
受託者名義の個人口座として取り扱われている口座です。
「名ばかり信託口口座」の場合には、管理者である受託者が
死亡してしまうと、受託者の相続財産として口座がロックされて
しまい、受託者の相続人全員の同意がなければ払戻しができない
という、家族信託の趣旨と異なることになります。
口座開設する際に、「受託者が死亡しても口座にロックされないか」
確認を取ることが大切になります。
３．信託専用口座
上記の信託口口座の開設に応じてくれる金融機関は少ないので、
実務的な対応として「信託専用口座」を活用します。
信託専用口座は受託者個人の口座を活用して、信託財産を
保管管理します。
信託契約を締結する前に、受託者が新しく口座を開設します。
この口座は特別なものではありません。普通に受託者が
自分名義で開設すつ口座です。
信託契約書には、先に開設した銀行口座の口座番号を記載し、
信託財産を管理する専用口座である旨を明示します。
そうすることで、口座名義は受託者個人ですが、実質は
口座に入っている預貯金は、受益者のものであることが
客観的に分かります。
＜用語解説＞
委託者：信託する財産のもともとの所有者で、信託をお願いする人
受託者：委託者からの信頼に基づいて、財産の管理・処分等をお願いされた人
受益者：信託された財産から生じる利益を受ける人
※「家族信託」は一般社団法人家族信託普及協会の登録商標です。
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