管轄が異なる本店移転時の注意点

会社の本店が、東京から熊本へ移転するように、会社を管轄する法務局が

変更になる本店移転の手続きは、注意すべきことがいくつかあります。

 

 

〇会社を管轄する法務局が異なる本店移転の審査は以下のように行われます。

 

上記の事例であれば、東京の法務局に対して、「東京の法務局への申請書」

及び「熊本の法務局への申請書」を提出します。

 

東京の法務局で両方の申請書を審査し、問題なければ熊本の法務局へ

申請書・印鑑届を熊本の法務局に送付されます。

熊本の法務局では、熊本の会社に同じ商号の会社が存在しないかを審査します。

 

問題なければ、熊本の法務局で新たに登記記録が作成された後に、

東京の法務局で本店移転された旨が記録され、登記記録が閉鎖されます。

 

 

 

管轄する法務局が変更になるために、主に以下のことに留意が必要です。

 

1.印鑑届には会社代表者の実印を捺印して、印鑑証明書を添付するのが

通常ですが、本店移転の場合には不要になります。

 

印鑑届という形式ではありますが、旧所在地(上記の事例であれば東京)の

法務局で登録している会社印を新所在地(上記の事例であれば熊本)に

送付するだけであって、「会社印の届出人」や「会社印」に変更が生じた

わけではないからです。

 

 

2.印鑑カードは管轄する法務局が変更になりますので、新たな印鑑カードの

交付申請が必要になります。同時に旧所在地(上記の事例であれば東京)で

使用していた印鑑カードは返却する必要があります。

 

なお、新たな印鑑カードは本店移転の登記手続きが完了した後に、

新所在地(上記の事例であれば熊本)の法務局へ、印鑑カード交付申請書を

提出すれば、10分程度で新たな印鑑カードの交付を受けることができます。

 

 

3.代表者変更と本店移転の登記を同時に申請する場合には、印鑑届は

2通必要になります。

 

1通は旧所在地(東京)の法務局用で、これは「会社印の届出人」の変更に

伴うものですので、新代表者の実印での捺印・印鑑証明書の添付が必要です。

 

もう1通は、新所在地(熊本)へ対して会社印を送付するだけに使用するもので、

個人実印、印鑑証明書は不要です。

 

 

同じ理屈で「商号変更」と本店移転の登記を同時に申請する場合で、

商号変更に伴い、会社印を変更する場合も同じ扱いになります。

 

 

4.「支店」がある所在地へ、本店を移転する登記と「商号変更」の登記は

同時に行うことはできません。

 

同時に申請してしまうと、新所在地(熊本)へ提出される申請書には、

新しい商号で表示することになりますが、熊本で「支店の登記」として

既にある登記記録の商号と不一致の状態になってしまうからです。

 

なお、それ以外の変更登記と本店移転の登記は同時に申請できます。

 

司法書士・行政書士西本清隆事務所

住所 〒862-0971
熊本県熊本市中央区大江6丁目4-10
TEL 096-288-0003
FAX 096-327-9215
営業時間 8:00~20:00
アクセス
・県道58号線 白山交差点を北に350m
・熊本市電 味噌天神前駅から徒歩4分