登記手続きにおける高齢者の意思確認

90歳を超えている祖母から、孫へ不動産を生前に贈与したいという旨の

相談は珍しくありません。

もちろん、高齢者の方が、生前に自分の財産を処分することは、

自由であり、推定相続人(相続が発生したら相続人になる人)の許可が

必要になるわけでもありません。

 

 

ただ、ひとつ注意をしないといけないことがあります。

それは、特に高齢者が、贈与や売買による財産の処分する際に

本人の意思がしっかりとしているのかを確認することです。

 

 

認知症等により「自分の行為が判断できない場合」や

「騙されたり、脅されたり」して、ワケが分からないまま

贈与契約・売買契約をしたら、後で契約が取消される可能性も

あります。

 

取引の安全を害さないように、後日争いとなる可能性は

最小限にとどめるための配慮が必要になると思われます

そのためにも、高齢者を方を差別するわけではありませんが

一般の取引の場面よりも、本人の意思確認は慎重に行うべきです。

 

 

高齢者の方全員が該当するわけではありませんが、一般的に

脳の働きが衰え始め、判断能力が低下するという傾向があります。

 

認知症なのかどうかは、短時間会話をしても分かるものではありませんし、

客観的・外見的に判断できるものでもありません。

認知症の判断について一般的に行われるものとして、「長谷川式簡易知能評価スケール」

のように短時間で実施できるものがあります。

 

医師の診断を受けて、正常な判断能力があると診察されれば、契約・取引を行い、

判断能力の低下がある旨の診察結果がでれば、成年後見制度を活用したうえで、

契約を行うことが必要になります。

 

成年後見制度を活用せずに、高齢者本人が当事者として、直接取引に関わる場合、

医師や取引とは関係ない第三者の関与のもとに意思確認を行い、契約を行う方が

無難です。

 

また、将来に契約の有効性の争いなどのトラブルを防止するためには、

高齢者である当事者の意思・判断に問題なかったことを証明する必要があります。

説明したことに対して、高齢者本人は理解しているという旨を文書や音声等において

記録として保存しておくと良いでしょう。

 

 

 

司法書士・行政書士西本清隆事務所

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