会計監査限定の監査役とは?

「監査役」と聞くと、何だか怖そうなイメージがしませんか!?

 

「監査役」の職務は、主に取締役等の職務内容を監査することです。

 

株式会社の運営は、経営のプロである取締役に任されており、

株主が、取締役として適切か否かを判断し、取締役として選任したり、

取締役を解任します。

 

ただ実際上、株主には取締役の業務の適否や、適格性を判断する能力は

ありません。

 

そこで、監査の専門家を別個に選任することで、取締役の業務を

監督する監査役がいるのです。

 

監査の対象は「業務監査」と「会計監査」の双方があります。

取締役が不正を行っていないかチェックしたり、

貸借対照表等の計算書類をチェックします。

 

大会社ではない非公開会社の場合は、原則として、

定款で監査役の権限を会計監査に限ることも可能です。

 

 

監査役はその職務を適切に遂行するため、取締役等と意思疎通を図り、

適正かつ十分な監査を実施しなければなりません。

 

 

監査役は、取締役会に出席する義務があり、必要に応じて

自ら会社の業務及び財産の調査をする権限があります。

 

但し、業務が会計監査に限定されている監査役はこの義務はありません。

 

監査役は取締役等が行う業務執行を監督する役割がありますので、

会社及び子会社の取締役・支配人等との兼任は禁止されています。

 

「チェックする人」と「チェックされる人」が同じでは、公正な監査はできないからです。

 

また、監査役の任期は、「選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに

関する定時株主総会の終結の時まで」となっています。

この任期は、定款で定めても短縮することはできません。

 

監査役の地位の独立性を図り、監査の実効性を担保するためです。

 

 

〇会計監査限定の旨が登記事項になった

 

会社に設置されている監査役の監査権限(業務監査まであるのか、

会計監査に限定されているのか)は、定款に規定されています。

 

しかし、定款は一般に公開されているものではないので、

会社の登記事項証明書から判断できないという問題がありました。

 

そこで、会社法が改正された結果、監査役の業務権限を、

会計監査限定である旨、定款で定めた場合には、その旨を

登記申請することになりました。

 

 

ただ、経過措置があり一定期間、登記することが猶予されています。

具体的には、会社法改正後、監査役が最初に就任又は退任するまでの間は、

その旨を登記をすることを要しません。

 

既存の会社は、現在の監査役が任期満了で退任する等の、「監査役の変更登記」を

申請する際に、「監査役の業務範囲を会計監査に限定する旨」の登記申請が必要です。

 

とはいえ、次回の監査役の変更手続きを行う必要があるのが、何年も先という会社は、

「監査役の業務範囲を会計監査に限定する旨」の登記申請を失念するおそれがあります。

 

そこで、次回の取締役の変更登記を行う際に、「監査役の業務範囲を会計監査に限定する旨」の

登記申請を同時にすることをおススメします。

取締役の変更登記と併せて申請しても、登録免許税は同じ金額で済むからです。

 

「監査役の業務範囲を会計監査に限定する」旨の記載がある定款

又は、その内容へ定款変更した株主総会議事録が申請に必要です。

 

 

司法書士・行政書士西本清隆事務所

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