代表者変更と印鑑届出

代表取締役・代表社員等の会社を代表する者は、

会社代表印を法務局(登記所)へ提出する必要が

あります。

 

これは、法務局へ会社の各種変更登記を申請する

にあたり、手続き自体の真正を担保するためです。

 

法務局へ届け出してある会社代表印が捺印されて

いる申請書ならば、会社の関与のもとに行われて、

虚偽の申請手続きではないとの確認が取れます。

 

 

では、会社代表印を届けてある代表者が辞任等で

会社を代表する立場ではなくなった時には、

会社代表印の変更はどうすれば良いのでしょう?

 

定款で、会社の代表者は1名と定めている場合

新たに就任する代表者が、自分が使用する会社代表印を

法務局へ届けます。

従前の代表者が、届出をしていた会社代表印は、

辞任等による退任登記手続きをすると同時に

自動的に印鑑が廃止されますので、別途、

印鑑の廃止届出の提出は不要です。

 

新たに就任する代表者が届出をする会社代表印は、

新たな印鑑でも、従前の代表者が届出をしていた

印鑑でも構いません。

 

定款で、会社の代表者が2名以上いる共同代表の場合

会社は定款の規定で、2名以上の代表者を選任して

置くこともできます。

 

では、印鑑を届出をしていた代表者Aから、

同じ代表者であるBが、Aが届出ていた印鑑を

引継ぐ場合には、どの様な手続きになるのでしょう。

 

代表者Bが新たに印鑑届出をすることが、必要に

なることは当然ですが、それだけでは同じ印鑑が、

AとBの2人によって、2重に印鑑登録されています。

 

そこで、Aが印鑑廃止届けを提出します。

そうすると、会社代表印はBだけが、

届出をしていることになり、

混乱を防ぐことができます。

 

 

ここで疑問に思うことがあります。

代表者がA及びBの場合に、Aの届出た印鑑とは

別にBが新しい印鑑を届出をする場合はどうでしょう。

 

A.Bどちらも会社の代表者なので、

双方の印鑑届出が有効のままになると

思われます。

明確に記載ある文献等を見つけることが

できなかったのですが・・。

 

「数人の代表取締役が同一の印鑑を押印した

申請書は印鑑の提出がないものとして申請を

却下する」旨の法務局の回答がありました。

 

反対に考えれば、異なる印鑑であれば、

別個に届出ができることになります。

 

ただ、契約書等にAのみの代表印が捺印され、

もう片方の代表者Bの代表印が捺印されない

事例も考えられます。

 

これでは、契約の有効性にも疑問が生じ、

相手方の取引を害することにもなりかねません。

 

共同代表の場合でも会社代表印を届出するのは、

ひとりの代表者にする方が安全です。

 

 

なお、印鑑届出には、会社代表印を届出る代表者個人の

印鑑証明書(3ヵ月以内発行のもの)を添付します。

 

 

 

司法書士・行政書士西本清隆事務所

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