自筆証書遺言の要件

司法書士・行政書士は、遺言書作成の相談を

よく受けます。

 

遺言には、主に2つの種類があるのですが、

遺言の種類についてはコチラ

 

遺言書の書き方に決まりはありませんので、

縦書きでも横書きでも構いません。

 

 

 

自分で作成する「自筆証書遺言」が有効になる

要件は何でしょう?

 

 

最も大事な要件として、「遺言の最初から

最後まで、すべて自署で書くこと」です。

最後までとは、遺言の内容だけでなく、

作成した年月日・氏名まで含まれます。

 

 

民法には「遺言者がその全文・日付・氏名を

自書し、それに押印したもの」であることが

必要である旨が定められています。

①全文の自書

②日付けの自書

③氏名の自書

④押印

以上の要件をクリアーする必要があります。

 

 

 

パソコン・タイプライター・ワープロで

作成したものは、一切認められません。

遺言書自体が無効になります。

一部分でけ使用した場合でも同様です。

 

筆記用具や用紙は、特に指定されていませんが、

鉛筆は、後に改ざんされる恐れがあります。

また、文字が霞んだりして読み取りできなくなる

可能性もあります。

ボールペン・万年筆で書くのが良いでしょう。

 

 

 

遺言内容を記載した後は、遺言を作成した

日付けを記入します。

 

「平成28年5月31日」や

「2016年5月31日」と記載します。

 

 

では、5月31日が誕生日な人が

「平成28年の誕生日の日」と記載

した、遺言書は有効でしょうか?

 

これは、有効になります。

日付けが特定できるからです。

 

同じ理由で2020年の東京オリンピック

開会式当日に遺言書を作成する人が、日付を、

「2020年東京オリンピック開会式当日」

と記載しても、日付けを特定できますので、

有効と解されます。

 

 

一方、「平成28年5月吉日」と記載ある

遺言書は無効です。理由は上記と反対で

正確な日付けを特定できないからです。

 

 

 

氏名は、フルネームで記載するのが通常です。

しかし、氏又は名しか記載されていない場合でも

ただちに無効になるわけではありません。

 

例えば、「私の全財産を長男山田太郎に相続させる」と

山田一郎さんが遺言書を作成し、氏名を「一郎」とのみ

記載しました。

この場合、長男である山田太郎のお父さんは、山田一郎さん

で、遺言書を作成した山田一郎さんとの同一性は確認できます

ので、有効と解されます。

 

遺言者の同一性が確認でき、他人と

区別できる程度に明らかであれば、本名に限られず、

通称、芸名等でも同一性が確認できれば有効です。

 

ただ、無用なトラブルを防ぐ意味でも氏名については、

氏名をフルネームで記載することをおススメします。

 

 

 

最後に、氏名の下(横)には、押印が必要になります。

押印する印鑑には特に決まりはありませんので、

認印や、拇印でも有効です。

 

ただ、実印で押印することが、遺言者本人の意思に

間違いない旨の証明にもなりますので、実印で押印し、

遺言書ともに印鑑証明書を同封しておくことが理想的

です。

 

 

 

最後に、法律上の要件ではありませんが、

自筆証書遺言を作成したら、封筒に入れて

遺言書である旨を記載し、封印しておいた

方が良いです。

 

作成した自筆証書遺言は、相続人以外の信頼できる

第三者に預ける等して、偽造・紛失を防ぎ、

遺言者が亡くなった後に遺言書の存在を

知らせてもらうことも大事なことです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

司法書士・行政書士西本清隆事務所

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