遺産相続手続きに必要な戸籍(除籍・改製原)謄本って?
日常生活において、戸籍を意識することはありません。
しかし遺産相続が発生すると、手続きや届出を行う際に相続関係を証明する
ものとして、戸籍(除籍・改製原)謄本の提出が必要になります。
普段戸籍に接することはないにも関わらず、家族の死が発生すると、
死亡届に亡くなった方の本籍地や筆頭者を記載することになり、
本籍って?筆頭者は誰?と戸惑うことも少なくありません。
また、亡くなった方の不動産の名義変更や銀行の預貯金口座を解約する際には、
本当に請求している人が、亡くなった人の相続人なのか又は相続人全員が
関与しているのかは、第三者は戸籍を確認しなければ分かりません。
とりあえず、本籍地は住所と同じとして、近くの市役所に行って、
戸籍謄本を取得することができた・・。としても、それだけで、
相続手続きに必要な戸籍は十分でしょうか?
遺産相続手続きに銀行に行ったら、「昔の除籍、原戸籍も必要ですよ」と言われたが、
「除籍」「原戸籍」って・・・なに? という状況は大半の方が経験されるのでは
ないでしょうか。
そこで、遺産相続手続きで必要となる戸籍の取得方法や種類をまとめてみます。
<戸籍の取得方法>
戸籍謄本等が必要な場合には、本籍地がある市町村役場へ請求します。
戸籍を請求するには、「本籍地」「筆頭者の氏名」が必要です。
もし、「本籍地」「筆頭者の氏名」が分からない時には、
住民登録している市町村役場に住民票を請求してください。
住民票の請求書の中に、「住民票に必要なもの」にチェックを入れる箇所があるので、
本籍の欄にチェックを入れると、「本籍地」「筆頭者の氏名」が併記された住民票が発行されます。
「本籍地」「筆頭者の氏名」が分かれば、本籍地がある市町村役場へ請求します。
免許証・保険証等の本人確認ができる書類を提示しないといけません。
また、相続で亡くなった人の戸籍(除籍・改製原)謄本を請求するには、親子関係等
請求者が相続人であることが分かる戸籍の提示が必要になります。
例えば、熊本市に本籍がある母親が亡くなり、福岡市に本籍を置く子供が、
母親の戸籍(除籍・改製原)謄本を取得する場合には、先に福岡市で自分の戸籍を取得し
(そこに母親の氏名が記載されますので、自分との親子関係が証明できます)ので、
熊本市の役所で提示することで、母親の戸籍(除籍・改製原)謄本を請求・取得することができます。
また、本籍地が遠方にある場合には、郵送により戸籍(除籍・改製原)謄本の請求をすることも
できます。手数料分の定額小為替(郵便局で購入します)・返信用の封筒・免許証の写し等を
同封して、請求できます。
郵送先は、原則市町村役場で良いのですが、大阪市・名古屋市・横浜市・福岡市等の大都市は
役場とは別に郵送請求専用の部署がありますので、注意が必要です。
請求先の市町村役場のホームページで確認することが大切です。
取得に必要な費用は、戸籍謄本は450円・除籍・改製原謄本は750円ですが、
市町村により異なることもありますので、ホームページで確認下さい。
<戸籍を請求できる人>
戸籍(除籍・改製原)謄本を請求できるのは、婚姻、離婚、親族等プライバシー情報が
たくさん含まれているので、個人情報の観点から、請求できる資格は限られます。
1.本人等
戸籍(除籍・改製原)謄本に記載されている人及びその親子関係(縦の関係)にある人は、
請求理由に関係なく戸籍(除籍・改製原)謄本を請求することができます。
例えば、婚姻により別個の戸籍がある人でも、婚姻前の自分が記載されている
除籍等を取得する場合は、戸籍に請求されている者からの請求で認められます。
ただ、兄弟(横の関係)が別個独立の戸籍の場合は、お互いの戸籍を自由に請求・取得
することはできません(委任状が必要になります)。
2.専門家
弁護士、司法書士、税理士、行政書士、土地家屋調査士等は、依頼を受けている案件に
関する業務を遂行するに必要がある場合には、戸籍(除籍・改製原)謄本の請求ができます。
もちろん、上記の資格があるからといって、自由に無制限に請求できるわけではありません。
業務の内容・依頼者名・提出先等の使途(裁判所に提出する等)を請求用紙に明記する必要があります。
これらの記載に虚偽があった場合(業務と関係なく、探偵事務所に他人の戸籍を交付する等)は
資格の業務が停止される可能性があるので、慎重に請求することになります。
<戸籍の種類>
戸籍全部事項証明書とは、平成6年以降にコンピュータ化されたもので、俗にいう「戸籍謄本」です。
対象となる戸籍に籍がある全員が記載されます。
改製原戸籍「カイセイハラコセキ」と読みます。平成6年以降にコンピュータ化される以前のもの。
他には、法改正により戸籍の様式が変更されてきましたので、変更前の様式の戸籍のことです。
除籍謄本とは、当該戸籍内の全員が死亡したり、婚姻等により新しい戸籍へ移り、戸籍にある者全てが
いなくなった後の戸籍のことです。
戸籍附票には、戸籍に記載されている人が、その戸籍にある間の住所の変遷が記載されています。
住民票はひとつ前の住所しか記載されていないのと比較して、その戸籍にいる期間分全ての住所が
記載されています。
以上のものは、全て本籍地がある市町村役場で取得できます。
なお、相続手続きで使用する場合の戸籍(除籍・改製原)謄本の有効期限です。
不動産の名義変更で法務局に提出する場合には、期限の定めはありません。
年金手続きや銀行での手続きでは、3ヵ月~6ヵ月以内のものが求められることが
多いですので、窓口でご確認下さい。
司法書士・行政書士西本清隆事務所
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